著者のコラム一覧
髙橋裕樹弁護士

「すべては依頼者の笑顔のために」がモットー。3000件を超す法律相談実績を持ち、相続や離婚といった身近な法律問題から刑事事件、企業法務まで何でもこなすオールマイティーな“戦う弁護士”。裁判員裁判4連続無罪の偉業を成し遂げた実績を持つ。アトム市川船橋法律事務所。

SNSに不適切な投稿を繰り返し…岡口基一裁判官の罷免は妥当だったのか

公開日: 更新日:

 令和6年4月3日、国会の裁判官弾劾裁判所は、SNSに不適切な投稿を繰り返し行ったことが、「裁判官としての威信を著しく失うべき非行があった」として仙台高等裁判所の岡口基一裁判官を辞めさせる罷免の判断を下しました。戦後、罷免の判断がされたのは、岡口裁判官で8人目になります。

 しかし、今回の判断は適切な判断だったといえるでしょうか。

 裁判官には、権力者からの圧力に屈せず公正な裁判を行えるよう、手厚い身分保障が与えられています。国会議員により構成される弾劾裁判で罷免される場合も、裁判官が職務上の義務に著しく違反している場合、職務を甚だしく怠っている場合、そして裁判官としての威信を著しく失うべき非行を行った場合に限られます(裁判官弾劾法2条2項)。罷免される裁判官は弁護士などになる資格も失い、退職金も支給されません。不服を申し立てることもできません。つまり罷免という判断は、会社などでの懲戒解雇よりも圧倒的に重い処分なのです。

 過去に罷免と判断された事案は、裁判官が児童買春やストーカー事件などで刑事処罰を受けているような事案です。裁判官としての威信を著しく失うべき非行であると評価されるのはやむを得ないでしょう。確かに、岡口裁判官の行ったSNSでの投稿は不適切なものと評価されても仕方がないかと思います。現に民事での損害賠償請求も認められているので、違法性も相応にあるでしょう。そして、不適切な表現行為に対して懲戒処分がなされるのは、私企業であっても公務員であっても同じです。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性