むつ市立図書館(青森県)まさかり半島にあるレンガ造りの「城塞シェルター」

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 むつ市は青森県の“まさかり”部分にあり、北に津軽海峡、西に平舘海峡、南に陸奥湾と、三方を海に囲まれた自然豊かな場所だ。

 ホタテ貝とイカが特産品として知られるほか、市内には恐山山地をはじめ雄大な自然が広がり、2016年には下北の5市町村をエリアとしている一帯がジオパークに認定された。

 そんな同市の知の拠点が、2000年に開館したむつ市立図書館だ。高さは最大約10メートル、広さは約3240平方メートルの平屋建て。プロのサッカーグラウンドの半分ほどの規模で、レンガ造りのどっしりとしたたたずまいは、西洋の堅牢な城塞を思わせる。

 館長の柳谷恭子さんが言う。

「開館から25年が経ちましたが、レンガがいい味わいを出していて、建物の年齢を感じさせません。内装には木をふんだんに使っているため温かみがあり、大小あちこちに設置された天窓からは自然光がたっぷり差し込みます。晴れていれば照明をつけなくても十分明るいほどです。平屋造りのため段差がなく、どなたにもやさしいバリアフリー。天井が高いうえに、全体を見通せるようにレイアウトしているので、開放感もバツグンですよ」

 館内の座席数はソファ席を含めて約200。歩けば椅子がある──そんな感覚で、誰もが好きな場所で自由に腰を下ろすことができる。中庭を模したガラスの壁と屋根に囲まれた「光庭(読書テラス)」では外光と緑を感じられ、気分転換にうってつけだ。

 郷土資料は約2万2000冊。特筆すべきはその内容だ。

「特産品やジオパーク関連の他、戊辰戦争で敗れた会津藩士が移住して再興した斗南藩に関する資料も取りそろえています。その他、市内にある国立の海洋研究所や原子力研究開発機構からは専門書などを寄贈していただいており、他では見られないような資料を豊富に所蔵しているのも当館の大きな特徴です。もちろん、一般の方の“入り口”となるような本も収集するように心がけています」(柳谷さん)

 同市出身の映画監督・川島雄三氏をしのぶ記念室も設けられている。代表作「幕末太陽傳」「しとやかな獣」など51本の作品を残した異才の軌跡を、遺品やパネル展示を通じてたどることができる。

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