有楽町「ニユートーキヨービアホール」蘇る親父と「銀ブラ」の思い出

公開日: 更新日:

 日曜日の夕刻になると競馬中継を見終わった親父が「ザギンで銀ブラでもするか」と、いきなり言い出すことがあった。

 今思うとそれは競馬で勝ったときで、実に分かりやすい親父だったのだが……。母親はじめ我々きょうだいはあたふたと用意して親父の後を追いかけた。そんなアタシと妹、弟、母親がよそ行きのちょいと気取った服を着てホコ天の中央通りを歩いている古い写真が残っており、そこには昭和45年と記入されている。ホコ天元年の年である。

 銀ブラの目的は夕飯を食べること。銀座での食事は数寄屋橋のニユートーキヨーが多かった。それは親父がビール好きだったから。アタシと親父はいつもビフテキ。他の連中はグラタンやハンバーグなどを食べていたと思う。今ではビフテキなんて言葉は死語だろうが、昭和40年代ごろ、ビフテキといえばごちそうの代名詞だった。

 アタシはニユートーキヨーで食べるまでビフテキが何のことか知らなかったが、そこで食べて初めてビーフステーキの略だと知ったのである。

 そのビフテキを食べながら、大ジョッキをうまそうに飲んでいた親父の姿を思い出した。そういえばビアホールもご無沙汰だ。よし、ニユートーキヨーへ行ってビフテキと大ジョッキだ!

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本ハムが新庄監督の権限剥奪 フロント主導に逆戻りで有原航平・西川遥輝の獲得にも沈黙中

  2. 2

    白鵬のつくづくトホホな短慮ぶり 相撲協会は本気で「宮城野部屋再興」を考えていた 

  3. 3

    DeNA三浦監督まさかの退団劇の舞台裏 フロントの現場介入にウンザリ、「よく5年も我慢」の声

  4. 4

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  5. 5

    佳子さま“ギリシャフィーバー”束の間「婚約内定近し」の噂…スクープ合戦の火ブタが切られた

  1. 6

    半世紀前のこの国で夢のような音楽が本当につくられていた

  2. 7

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 8

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  4. 9

    田原俊彦「姉妹は塾なし」…苦しい家計を母が支えて山梨県立甲府工業高校土木科を無事卒業

  5. 10

    プロスカウトも把握 高校球界で横行するサイン盗みの実情