有楽町「ニユートーキヨービアホール」蘇る親父と「銀ブラ」の思い出

公開日: 更新日:

半世紀以上も経てようやく実現

 当時は数寄屋橋本店だが、今回はランチでステーキが食べられる有楽町電気ビル店に行くことに。ランチタイムが終わる直前の昼下がりを狙って、ゆっくりステーキと生ビールを味わう。これって大人の男の特権ってやつだ。実は子供の頃、親父の姿を見て、大人になったらニユートーキヨーでこれをやろうと決めていた。なぜか半世紀以上も経てようやく実現したのである。

 注文を取りに来たベテラン男性にステーキランチ(1480円、金曜日は1200円=写真)を注文し、アタシと店との関わりを話すと大層喜んでくれた。「だからさ、やっぱりビールはもらわないとね」とアタシ。

「じゃ、ランチビール(400円)がお得ですよ」「いや、それじゃなくて昔ながらのがいいんだけど」「だったらシュタインジョッキですね。大きいのは800㏄ですが」

 さすがに大ジョッキはキビシイ。500㏄の中ジョッキ(800円)でいくことに。ベテランさんがステーキと共に自らついでくれたジョッキを持ってきて、厨房で忙しい陶山店長に代わって話してくれた。

「今年でうちは創業88年です。ビールはどこにも負けません」。ベテランさんが自信満々に陶製のジョッキをアタシに手渡す。それを一気にあおるアタシ。サイコ~。やっぱりニユートーキヨーのビールはうまい。ミディアムレアに焼かれて和風ソースのかかったステーキを大きめにカットして口に放り込み、噛みしめる。そこに生ビールをグビ~。舌の奥にビール本来の苦みが残る。これこそが本物の証明だ。あ、もうないぞ。やっぱり大ジョッキだったな。反省しつつも酷暑の昼下がりに生ビールとステーキに陶然とする還暦男。昭和に戻って親父と飲んでいる気分だ。そうか、お盆だ。墓参りに行ってみるか。その前に、中ジョッキおかわり!(藤井優)

○ニユートーキヨービヤホール有楽町電気ビル店
 千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル地下1階

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