目黒「とんき」でビールを飲み、とんかつを揚げる音を聞きながら待つ20分間の至福
とんかつが揚がるまでの待ってる時間が楽しい
さて、とんかつが揚がるまで約20分弱。子供の頃はこの時間が長くてイライラしていた。「バカだな。この待っている時間がワクワクして楽しいんじゃないか」と、父親によくたしなめられた。今、やっとわかった。ゆったりしたカウンターに座り、流れるこの時間の何と贅沢なことか。ただし、それはとんきに限ってのこと。ピーナツをつまみ、ビールを飲みながら広く清潔な厨房でジュクジュクと、とんかつが揚がる音を聞き、糊の利いた白衣でテキパキと動くスタッフの姿を眺める。まさにとんきの真骨頂。この景色は数十年も前に池波正太郎さんが書いていること。それはつまり、その頃から変わっていないということだ。変わらずにいることは簡単ではない。日々、進化し続けなければ長年同じ状態を保つことはできない。
さあ、いよいよ揚げたてが登場。熱々の豚汁をすすり、たっぷりソースをかけた一切れを口に放り込む。やっぱりうまい! この衣がいい。サイコ~! ご飯とキャベツをお代わりして完食。大満足。素性を明かすと3代目はうれしそうに話してくれた。「昔、いつもゲンダイを読んでる常連さんがいたので、うちで用意していたことがありますよ」。客をもてなす気持ちを表すエピソードだ。よし、今度はアタシがゲンダイを用意しよう。そのときは串カツで日本酒だ。
(藤井優)
○とんかつ とんき 目黒本店 目黒区下目黒1-1-2

















