ENEOS HD(上)突然失脚した最高権力者・杉森務前会長の実力
1999年、日本石油と三菱石油の合併(日石三菱)に始まり、2010年の新日鉱ホールディングスとの経営統合。17年、東燃ゼネラル石油をのみ込んだ。杉森はいずれの再編・淘汰でも交渉の最前線に立ち、奔走した。
「入社してから社名が6回も変わった」。経験したくてもできないような特異な経歴を持つ。14年、JX日鉱日石エネルギー、16年、JXエネルギー、17年、JXTGエネルギーの社長に就いた。全国の給油所(ガソリンスタンド)を率いる事業会社の社長に就いたことがバネとなり、杉森はグループのトップの座を手繰り寄せた。
17年4月、JXホールディングスと東燃ゼネラル石油が経営統合し、JXTGホールディングスが誕生した。事業子会社のJXTGエネルギー社長の杉森は、18年6月、持ち株会社、JXTGHD社長の椅子に座った。
グループトップの座を射止めた彼の初仕事は、給油所のブランド名だったENEOSに社名を統一することだった。旧JXのENEOSが約1万カ所。経営統合した東燃ゼネラル石油だったエッソとモービル、旧ゼネラル石油のゼネラルを合わせて、給油所はおよそ1万3500カ所あった。