NHK(上)続投を阻まれた前田前会長の無念…背後にチラつく財界サロン「四季の会」の影
任期満了に伴い退任するNHKの前田晃伸会長(78)が1月10日、会長として最後の会見に臨んだ。
前田氏は、みずほフィナンシャルグルーブの会長などを務めた後、2020年にNHK会長に転じ、1期3年務め1月24日退任した。人事制度や受信契約の営業手法など大胆な改革を進めるとともに、徹底したコスト削減を図り、今年10月からの過去最大の受信料値下げを実現した。
■スリム化に尽力
会見で前田会長は3年の任期を振り返り、「スリムで強靱なNHKに生まれ変わるため、今までの会長が手をつけなかったところに全部着手した」と人事制度の改革を強調した。
総務省が求める①業務のスリム化、②受信料値下げ、③ガバナンス強化の「三位一体の改革」を推進し、銀行出身の前田氏はとりわけ、手慣れた組織のスリム化に力を入れてきた。
外部のコンサルタント会社に大胆に業務委託しながら効率化を図り、19年度に7163億円あった業務支出を21年度には6609億円まで削減した。コロナ禍で、改革が進めやすかった側面は確かにあるが、元バンカーらしいやり方をした。