米国ギリギリでデフォルト回避…バイデン大統領目先の課題と急上昇する日本株の行方
最悪の事態は回避できたようだ。交渉が難航していた米政府の債務上限問題をめぐり、バイデン大統領と野党共和党のマッカーシー下院議長が27日、原則合意。合意内容は明らかになっていないが、2年限定の債務上限引き上げで一致したとみられる。
9日後には政府資金が底をつく期限が迫っていた。米国債が史上初めて債務不履行(デフォルト)に陥るリスクをギリギリで回避した格好だ。
米経済の不透明感を受け、この2週間、リスク回避的に海外から日本株に資金が集中した結果、日本の株価は急上昇。22日には日経平均株価が終値で3万1000円台を突破した。市場関係者は「米国の『原則合意』を素直に受け取れば、円安・株高は継続していく」と期待しているが、日本の株価はこのまま上がり続けていくのか。経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「すんなり債務上限問題が解決するかというと、そう簡単ではない。短期的に見れば、まず上限引き上げに向けた法案を議会下院で採決しなければならない。バイデン大統領が与野党の反対派を説得できるかどうか。そして、長期的に見れば、米国は秋以降の景気後退が懸念されます。ニューヨーク連邦準備銀行によれば、米国の景気後退確率は約60%です。確率が30%程度を上回ると、ほぼ間違いなく景気後退に入る。投資マネーを日本に置いておく動きが日本の株価の急上昇につながりましたが、通常、米国の株価が下がれば、日本の株価も連動します。米経済の後退リスクを考えれば、日本の株価だけが上がっていくとは考えにくい。日米の株価にとって、良い材料はありません」
米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げの観測もくすぶる。日本株バブルの終焉は近いか。