今度のインバウンド消費は本物! 世界中の美食家たちが日本を目指す新たなトレンド

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 コロナが5類に下がったことで、日本中に外国人観光客が戻ってきた。日本の物価は世界に比べて相当安い。よく使われるビックマック指数で言えば、米国は日本の1.7倍、スイスは2.3倍、韓国も1.25倍だ。そのうえ、この円安である。治安もよい。もちろん、風光明媚なところもたくさんある。外国人観光客が「安くて楽しめる国、日本」に来るのも当然なのだが、実は理由はそれだけではない。実はここ数年、日本の「食」が世界中の美食家たちから注目を集めているのである。

 ここでいう「食」とは一般的な日本食ということではない。世界中の美食家たちをうならせるレストランや料理屋が東京のみならず、日本全国にできていて、それを目指すツーリストたちが密かに増えているのである。

 この背景には国の積極的な取り組みもある。今年2月、国土交通省官公庁は「地域一体型ガストロノミーツーリズムの推進事業にかかわる調査業務」の入札を発表した。国をあげて、地域と一体化する美食観光を調査・研究しようという試みだ。

 その業務内容には、こんなことが書かれている。

〈訪日外国人旅行者の急速な回復の中で、食関連の単価向上を通じた消費拡大の機会が生じていることから、地域一体となってガストロノミーツーリズムに取り組む観光地域づくり法人を中心とし、自治体、農業、漁業飲食業、宿泊業等の様々な関係団体で構成された地域を支援することで地域全体への観光経済波及効果を最大化する〉

 そして、今年3月には同じく観光庁がインバウンド富裕層を呼びこむために「集中的な支援をするモデル観光地11地域」を選定した。世界中の美食家や富裕層やをターゲットにした観光事業を国が後押し、ガストロノミー&ラグジュアリーツーリズムが大きく動き出してきたのである。

「欧米の富裕層が次に向かうのは地方の美食」

 このほど「『フーディー』が日本を再生する! ニッポン美食立国論 ──時代はガストロノミーツーリズム」(発行:日刊現代/発売:講談社)を上梓した日本ガストロノミー協会会長の柏原光太郎氏はこう言う。

「コロナさえなければ2019年に4000万人は超えるだろうといわれたインバウンド数は、2021年には24万人にまで落ち込みましたが、昨年末からの急回復ぶりには観光庁も驚いているほどです。先日京都に行きましたが、インバウンド観光客が圧倒的でほとんどが欧米人の富裕層です。彼らはコロナ禍の最中から、落ち着いたら日本に行き、美味しいものを食べたいと切望していました。そして、東京や京都の美味を知った彼らが次に向かうのは地方の美食です。デスティネーションレストランと呼ばれている、その地方でしか味わえない美味を中心に日本中を尋ね歩く旅、つまりガストロノミーツーリズムが脚光を浴びているのです」

 柏原氏は日本中にある美食を発見し、それを中心にした観光を再構築することが日本経済を盛り上げると指摘、著書ではその具体的な処方箋も描かれいている。

 日本は2009年に「観光立国推進戦略会議」が策定され、訪日外国人客2000万人を目標に掲げた。2016年に2000万人を超え、2018年には3000万人を超えたが、コロナに腰を折られた。それが今「美食」というキーワードのもと、力強く動き出している。

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