著者のコラム一覧
重道武司経済ジャーナリスト

1957年鳥取県倉吉市生まれ。84年フジサンケイグループ傘下の経済紙「日本工業新聞」(現フジサンケイビジネスアイ)の記者となり、千葉支局を振出しに鉄鋼、自動車、総合電機、財界、金融、エネルギー(電力・石油・ガス)などの業界を担当。2000年外資系通信社に転じた後、02年からフリーに。得意分野は通信社時代を含めて在籍足掛け7年にも及んだ日銀記者クラブ時代に人脈を培った金融。自動車業界にも強い。

中国優位で加速するEV電池の淘汰…欧州系メーカーの破綻は3社目に

公開日: 更新日:

 中国勢による市場の席巻をますます助長することになりそうだ。EV(電気自動車)の基幹部品である車載電池を手掛けるスウェーデンの新興企業、ノースボルトが先週、経営破綻した。

 欧州系電池メーカーの破綻は2023年以降、これで3社目。“EV変調”がもたらす市場の「揺らぎ」に、トヨタ自動車やホンダなど国内勢の間でも警戒感が広がる。

 ノースボルトは16年に米テスラの元幹部らが設立した。独フォルクスワーゲン(VW)、BMWやシーメンスのほか、傘下のファンドを通じ米金融大手、ゴールドマン・サックス(GS)系の資産運用会社なども出資。21年末にはスウェーデン北部で大規模量産工場(ギガファクトリー)を稼働させるなど一時はEV関連新興の中で「勝ち組」(マツダ関係者)とも言われてきた。

 しかしエンジニアの確保が思うように進まず、年産能力16ギガワット時としてきた工場の生産量は1ギガワット時程度にとどまるありさま。

 今年6月にはBMWから20億ユーロ(約3200億円)分の発注キャンセルを食らう一方、中国勢の低価格攻勢にもさらされ、資金繰りに行き詰まった。

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