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小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

ポルシェ911初のハイブリッド 新型GTSは電動エコ化にあらず、規格外のドリフトマシン化だった!

公開日: 更新日:

ポルシェ911 カレラGTS(車両価格:¥23,790,000/税込み)

 ポルシェ911といえば、スーパーカー世代ならよく知るドイツの個性派スーパースポーツだ。1960年代に登場し、リアタイヤより後ろに独自の水平対向6気筒エンジンを搭載するクセ者である。

 リア搭載がゆえエンジンは冷やしにくく、前後重量バランスも極端なリア寄り。ただし、その分トラクションの良さとノーズの軽さとステアリングの切れが半端ない。なにしろ初期モデルはステアリングのキックバックで指を骨折する人がいたほど。ざっくり60年の長い歴史は、クセ封じ込みの歴史でもあるわけだ。

 で、最新8代目の992型911が先日後期型に変わり、歴史的改革が行われた。ベースのカレラと硬派GT3の中間に位置するGTSグレードに、遂に911史上初のハイブリッドユニットが搭載されたのだ。

 ポルシェのハイブリッドとしては既にSUVカイエンに「Sハイブリッド」があるが、今回は911の水平対向エンジン専用の「T-ハイブリッド」。これがまた恐ろしくマニアックな造りになっている。

雨のテストコースで乗ってビックリ!

 ベースエンジンは旧GTSが3ℓツインターボだったのが、新GTSは3.6ℓシングルターボに排気量アップ。それだけじゃない。8速デュアルクラッチギアボックス内に56ps&300Nmのモーターを備えたうえ、ターボタービン軸にモーターを配した電動タービンを備えており、かつてない過給圧コントロールが可能になったのだ。

 かつての911用水平対向ターボエンジンには、穏やかだがそれでも微妙な加速遅れ=ターボラグがあった。そこでGTSはハイブリッド化で燃費向上と同時に、電動タービン化でレスポンスを上げ、コントロール性を向上させているのだ。

 実際、雨のテストコースで新型GTSに乗ってビックリ。外観はライト内が微妙に変わり、フロントパンパーに新たに黒いスリットが付き、リアも左右コンビランプ間に「PORSCHE」のロゴが入り、モダンなワイルド化がなされた。しかし何よりも、いまだかつてない電動トルクの太さと抜群のコントロール性だ。

 排気量アップした485ps&570Nmのパワー&トルクを発揮する新3.6ℓ水平対向6気筒ターボだけじゃない。ハイブリッド化でシステムパワー&トルクは541ps&610Nmに跳ね上がり、オマケに今まで以上にコントロールしやすい。

ドリフト走行とハイパワーを操る快感を味わえた

 特に驚いたのはウエット路面でのドリフトコントロール。濡れた路面は簡単にタイヤが滑るのと同時に、一度滑ったら止まらなくなる。要するに、滑る滑らないのギリギリを探るのが難しいのだが、ハイブリッドの911GTSは、パワーアップしつつコントロールもしやすくなっている。これが新ハイブリッド化のミソなのだ。

 オマケにT-ハイブリッド化でエンジン重心が110mmも下がっているから、そこでもコントロール性がアップ。我ながらひさびさに心から911GTSのドリフト走行とハイパワーを操る快感を味わうことができた。ついでに言うと、実燃費も旧型より微妙に上がっている。これは意外なる朗報だ。

 正直、いままで「雨の911」にはなんともいえない不安を感じていたが、今回それはかなり消え去った。その事実が走り好き911ファンには一番の朗報なのかもしれない。

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