野党の無力、メディアの迎合…統一選の結果が必然だった背景

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 民主主義なんて脆いものだ。いくら、選挙があっても一党独裁の支配体制化では機能しない。というか、その独裁政権追認の儀式になってしまう。

 それをまざまざと見せつけたのが12日、投開票された統一地方選の第1ラウンドではなかったか。

「今回の10道県知事選で野党が対立候補を擁立できたのは北海道と大分県のみ。6知事選で与野党相乗りです。41道府県議選は5人に1人が無投票当選で、自民系348人が開票前に当選した。民主党は345人の候補者しか立てられなかったから、開票前に自民の無投票当選者数に負けていた。緊張感も何もありゃしません」(立正大教授・金子勝氏=政治学・憲法)

 だったら、その分、野党は直接対決になった大分と北海道の知事選に全力投球すべきだったのに、ともにボロ負けだから、ヒドイものだ。

 改めて言うまでもないが、国政選挙には強い安倍自民党も地方の県知事選では苦杯をなめ続けてきた。昨年は滋賀県知事選に負け、沖縄県知事選も落とし、今年1月の佐賀県知事選も足をすくわれた。当たり前の話で、アベノミクスの恩恵なんて、地方には何の関係もないからだ。そのうえ、TPPをゴリ押しし、原発再稼働に舵切りし、沖縄では基地移設強行だから、むちゃくちゃだ。地方の反乱は当然で、だからこそ、今度の県知事選も注目されてきたのである。

 それがなぜ、かくも無残な結果に終わったのか。

■選挙期間中も分裂していた野党

 滋賀、沖縄、佐賀、北海道の知事選を取材したジャーナリストの横田一氏はこう言っている。

「北海道知事選では野党が全然、一枚岩になっていなかった。それがこれまでの知事選との大きな違いです。地元の横路孝弘衆院議員らが野党の佐藤のりゆき候補の適格性を問題視、岡田代表も民主党の道連からの要望がないことを理由に党を挙げた支援をしなかった。札幌市長選の応援に入った蓮舫参院議員が北海道知事選では街宣車にも乗らず、素通りしたのです。だったら、候補者を公募するなど、もっと早くから対処すればいいのに、選挙が始まってもゴタゴタを続けていたのですから、どうしようもありません」

 こうした裏を聞くと、なるほど、こうやって民主主義は滅びていくのかと痛感する。自民が国政選挙で圧勝したことで、今や馬糞の川流れのような野党。内輪モメで自滅していくパターンである。その間、巨大勢力の与党は金をバラマキ、組織を引き締め、万全の選挙態勢を敷いてしまう。

 今度の選挙だって、自民は用意周到だった。総額3兆1180億円の補正予算を組み、自治体が商品券などに使える交付金などを盛り込んだ。もちろん、統一地方選対策のバラマキで、景気対策になんかなりゃしないが、数の力で押し切って、利権目当ての業者を束ねた。

「投開票日直前に一時2万円超えした日経平均株価もドンピシャリでしたね。外国人投資家は“選挙前は下がらない”と強気でしたが、その通りの展開に笑いが止まらなかった。“本当に日本は分かりやすい国だね”と言っていました」(市場関係者)

 加えて、安倍政権がちょっと睨みを利かせると大メディアは羊のようにおとなしくなってしまう。こうなりゃ安倍自民党は楽チンだ。

 茂木敏充選対委員長は開票後、「景気回復の実感を地方に一日も早く届けてほしいという期待感は大きかった」「地方創生をはじめ選挙戦で訴えてきた政策をしっかりと与党として実現していきたい」とか言って、“勝利は当然”とばかりに胸を張った。

 アベノミクスとは一言で言えば格差拡大政策なのに、ここまでイケシャーシャーと言わせていいのか。とんでもない話だが、こう言わせたのは、戦う気がない野党と、いまや完全に安倍政権のポチと化した大メディア、それにだまされた有権者であって、与党の勝利は、この意味において、必然と言うしかないのである。

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