「共謀罪」懸念の国連報告書を無視する安倍政権の魂胆

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〈法律の広範な適用範囲によって、プライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限につながる可能性がある〉――。国連人権理事会の特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏が共謀罪法案に懸念を示す「報告書」を安倍首相に送ってから3週間。受け取った菅官房長官は「一方的」「不適切」と色をなして反論し、岸田外相も参院法務委で「(ケナタッチ氏に)正式な回答を用意している。用意が出来次第、回答する」と気色ばんでいた。ところが、いつまで経っても日本政府の「回答書」が示される気配がない。

「精査している」。8日の参院法務委で、「回答書」について問われた岸外務副大臣はこう答えるのが精いっぱいだった。だが、ケナタッチ氏の報告書はたった5枚のリポートだ。「精査」にいったいどれだけ時間がかかっているのか。このままだと国会が閉会してしまう。外務省に回答時期を問い合わせたが、「政府が答弁している通りです」(報道課)と木で鼻をくくったような答えだった。

「ケナタッチ氏の指摘に完全論破された安倍政権は、下手に反論すればますます批判が高まると思ったのでしょう。この際、報告書の指摘は無視して、一刻も早く共謀罪法案を強行成立するつもりなのだと思います」(外務省担当記者)

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