肩透かし食らったか 日ロ外相レベル交渉合意は“看板倒れ”
安倍首相は1日、アルゼンチンのブエノスアイレスでロシアのプーチン大統領と会談。北方領土問題を含む平和条約交渉を加速させるため、河野太郎、ラブロフ両外相を責任者とする新たな枠組みをつくることで合意したが、早速、“看板倒れ”になりそうだ。ロシア高官から、「新枠組み」の内容を根底からひっくり返す発言が飛び出したのだ。
1日付のロシアメディア「RIAノーボスチ」によると、首脳会談直後にロシアのウシャコフ大統領補佐官が報道陣に対し、「(領土交渉は外相ではなく)最高レベルで合意しなければならないこと」と明かし、ラブロフが新枠組みに加わることができるかどうか、懐疑的な見方を示した。
要するに安倍政権は、「河野―ラブロフ」の新枠組みに合意した直後に、「やっぱり外相レベルじゃ決められないよ」と“ちゃぶ台返し”に遭った格好だ。ロシア側の狙いは何なのか。筑波大教授の中村逸郎氏(ロシア政治)はこう指摘する。
「日本政府を徹底的に撹乱し、混乱させようとしているとみられます。どのレベルで交渉したらいいのか判断できなくなれば、日本政府は最終的に領土問題の“棚上げ”に追い込まれる可能性がある。結局、ロシアは北方領土を返す気などないのでしょう」