しがみつく菅義偉に退場勧告 ボンクラ政権が続く損得<上>

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 すべての責任から逃げ回り、学術会議任命拒否や汚染水放出を政治的成果と胸を張る首相は、恐ろしいことに自分は有能だと思っているフシがある。

 暗黒の安倍政権で培った鉄面皮とその場しのぎ、ゴマカシこそが総理の条件と勘違いしているのだろうが、誰もが見放しつつある政権の行く末。

■発足から7カ月半、この政権に上がり目なし

 緊急事態宣言の全面解除に聖火リレー。4月はバイデン米大統領と初会談し、目玉のデジタル改革関連法も成立する。ワクチン接種を順調に進め、参院広島再選挙にも勝てる。五輪を開催すれば勢いに乗って総選挙に大勝し、無風で総裁再選後は長期政権も視野に――。3月末に描いた青写真は1カ月余りで完全に打ち砕かれ、もはや菅政権に上がり目はない。

 学術会議の任命拒否では「(反発が広がると)思ってました」と笑顔を見せ、汚染水の海洋放出でも決断できるリーダー然として胸を張る。恐ろしいことに「仕事師」を自任する菅首相からは、自分は有能だと思っているフシすら漂う。

 本人は「粛々とやれば誰かが評価してくれる」と思っているのだろうが、粛々とやってきたことは暗黒の安倍政権時代に培った鉄面皮のその場しのぎとゴマカシのみ。すべての責任から逃げ回ることが総理の条件と勘違いされても困るのだ。

 菅は「最強の官房長官」ともてはやされた気分が抜けないのか、まるで自分が見えていない。今や強力に補佐する人材は皆無。菅は「自らの政策に反対する官僚は異動させる」と公言し、しばしば執務室で部下をドヤす。そんな目に遭うのは御免と、官邸スタッフは菅を腫れ物扱いだ。

 閣僚も一体感に乏しい。安倍前首相の頃の国会は、野党議員が質問すると各閣僚が一斉に手を挙げ、弾よけになって安倍をかばおうとした。そんな忠誠心争いの光景は消え、菅本人が渋々、答弁に立つ場面も目立つ。

 むしろ、次の総理を目指す河野行革相や茂木外相、加藤官房長官らは、9月の総裁選での“看板スゲ替え”を念頭に、最近は菅と意思疎通を図らず距離を置いているようにも映る。

「この政権が長続きするとは誰も思っていないでしょう。新型コロナ対策の無為無策、説明能力とリーダーシップの欠如を嫌というほど見せつけられれば仕方ない。菅首相は無派閥で党内基盤は脆弱です。後ろ盾の二階幹事長が見切りを付けたら、あっという間に“菅降ろし”が始まりますよ」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 もともと総理の器でなかったとはいえ、誰もが見放しつつある政権の行く末はどうなるのか。

任期満了、追い込まれていく自民党の右往左往

「この逆風は止まらないのではないか」――。自民党議員から悲鳴が上がっている。「4・25国政3選挙」が、自民党の3連敗で終わったからだ。

 4月25日に行われた3選挙は、菅政権の発足後、最初の国政選挙だった。必ず年内に実施される解散総選挙の前哨戦でもあった。その3選挙で大敗を喫したことで自民党内に激震が走っている。

「不戦敗だった衆院北海道2区と、野党側の弔い合戦だった参院長野は、最初から負けが確定していた。ショックなのは参院広島です。もともと広島は自民党の牙城。基礎票は野党の2倍ある。圧勝して当然でした。なのに、敗北してしまった。思い知らされたのは、逆風の強さです。もちろん、買収で逮捕された河井案里の後釜を選ぶという選挙区事情はあったが、有権者は“政治とカネ”だけでなく、菅政権のコロナ対策にも強い不満をもっていた。この猛烈な逆風は、日本全体に広がっている恐れがあります」(自民党関係者)

 自民党議員が真っ青になっているのは、今年に入ってから地方選挙で敗北が続いているからだ。

 1月の北九州市議選では現職6人が落選。2月の大分市議選も現職3人が当選ラインに届かなかった。知事選でも、山形県知事選は2倍の差をつけられて大敗、千葉県知事選も100万票の大差をつけられ惨敗した。あきらかに「地殻変動」が起きているのだ。

 さらに、自民党議員が不安を強めているのは、過去5回あった任期満了まで半年を切っての「追い込まれ総選挙」は、すべて政権政党が負けていることだ。麻生政権が大敗して下野したのも、追い込まれ選挙だった。現衆院議員の任期は10月21日。すでに半年を切っている。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。

「自民党は負けるはずのない地方選挙で立て続けに負けています。しかも、投票率が上がっている。地殻変動が起きているのは確かでしょう。やはり、自民党政権のコロナ対策に不満があるのだと思います」

 選挙が刻々と迫り、自民党議員は右往左往している。

まだくすぶる安倍再々登場のブラックジョーク

 菅政権はお先真っ暗、とはいえ「ポスト菅」に名前が挙がるのもロクでもないやつばかり。そんなお寒い政治状況で、今もくすぶるのが安倍の再々登板だ。

 2度にわたって持病を理由に政権を放り出した安倍にまだ期待する声があることに驚くが、当の本人も復権への地盤固めに余念がない。

 昨年、自民党の「ポストコロナの経済政策を考える議員連盟」を立ち上げ、会長に就いたかと思ったら、この4月には原発の必要性を訴える「最新型原子力リプレース推進議員連盟」や「憲法改正推進本部」などの最高顧問に相次いで就任。憲法改正は衛藤征士郎本部長から打診され、「喜んで」と引き受けたという。

「党内でポスト菅に数えられる加藤官房長官や茂木外相、下村政調会長は、本人たちはやる気はあるけれどトップの器ではないし、菅総理と総裁選を戦った岸田前政調会長も石破元幹事長もパッとしない。衆院議員は自分の総選挙が近づいていることもあって、つい『安倍1強再び』の夢を見てしまうんですよね」(自民党中堅議員)

 だが、安倍は病気で正常な判断ができないといって首相を辞任したはずだ。その後、病気はどうなったのか。判断能力もない政治家に憲法改正なんて任せられるはずがない。

「安倍前首相が復権を狙っているのは間違いありません。しかし、“モリカケ桜”をはじめとする数々の疑惑をウヤムヤにしたまま再々登板なんて許されるわけがない。都合が悪くなると体調を理由に逃げ、ほとぼりが冷めたと思ったらシャシャリ出てくるなんて、破廉恥にも程がある。国会で虚偽答弁を連発して国会と国民を愚弄し、独裁的手法で日本の民主主義と法の支配を破壊してきたことへの反省もないのでしょう。こんな人物をまた担ぎ出すなら自民党の見識が疑われるし、ソノ気になっている本人もどうかしています。あまりに国民をバカにした話です」(政治評論家・本澤二郎氏)

 自民党の人材払底はひどいが、だからといって安倍の再々登板はタチの悪いブラックジョークだ。

 次は【五輪強行、感染爆発、世界中から袋叩き】

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