小林節
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小林節慶応大名誉教授

1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院の客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著) 5月27日新刊発売「『人権』がわからない政治家たち」(日刊現代・講談社 1430円)

敵基地攻撃能力を考える(2)すでに第3次世界大戦は始まっている

公開日: 更新日:

 今回のウクライナ侵攻に際して、ロシアが核兵器の使用も辞さないと宣言したためか、世界の諸国は今回の戦争を第3次世界大戦に発展させないように、慎重に関わっている。

 アメリカ、欧州を中心に日本も加わって、自由と民主主義を信奉する国々は、ウクライナに対して物心両面での支援を惜しんでいない。しかし、その中のただ一カ国も「参戦」はしていない。つまり、戦地に派兵をしてはいない。

■「自由・民主主義」対「専制・軍国主義」

 しかし、現実には、ウクライナに攻め込んだロシアに対して、あたかもウクライナが世界の「自由・民主主義」諸国を「代表」して戦争を行っている構図になっている。そして、ロシアに対しては、少数ではあるが「専制・軍国主義」の国々が支持を表明している。

 思えば、かつての第2次世界大戦は、アメリカ、フランス、イギリスといった自由主義諸国と、ドイツ、イタリア、日本といった専制主義諸国の対決で、自由と民主主義が勝利したと総括されていた。しかし、現実には、その戦勝自由主義諸国の中にスターリンが率いるソ連邦が入っていた。その実態は「自由・民主主義」とは程遠く、後に明らかになったように「専制・軍国主義」国家そのものであった。それに後発の中国、北朝鮮も加わり冷戦に発展し、1991年のソ連崩壊まで続いた。

 その結果、ウクライナを含む旧東欧諸国が30年以上も自由と民主主義を享受した後に、今回、力を回復したと自覚したロシアが、かつての覇権を取り戻そうとして始めたのがウクライナに対する侵略戦争である。

 だから、今回は、実は第2次世界大戦で未解決であった「自由・民主主義」対「専制・軍国主義」に決着をつけるべき時なのである。

 もちろん、自由と民主主義が負けるわけにはいかない。

 そこで、自由主義陣営内の大国である日本もウクライナ支援をためらう理由はないが、その際に、第2次世界大戦に対する反省から「二度と侵略者にならない」ために極めて自制的に書かれている憲法9条が制約になっている。加えて、この9条の下で「被侵略者にならない」保障はあるのか?も問われている。だから、「敵基地攻撃能力」の検討なのである。(つづく)



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