著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

社会現象になった「鬼熊事件」の本質…判官びいきの感情を満足させていた

公開日: 更新日:
川端康成も鬼熊を題材にした短編小説「『鬼熊』の死と踊子」を執筆(C)共同通信社

 鬼熊事件について、さらに書き進めよう。大正期の光と影を理解するためにだ。

 同僚が殺害されたとあって、警察当局はこの地方の青年団や消防団、さらには各団体などを呼集して、連日山狩りを行った。その様子も全国ニュースで報じられている。新聞記者が山中で単独会見をして、鬼熊の言い分…

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