保阪正康
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保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

橘孝三郎の農本主義思想は資本主義体制の否定に利用されていく

公開日: 更新日:
大正期の農村(C)イマジンネット画廊所蔵/共同通信イメージズ

 橘孝三郎の大正末期から昭和初期の実像をもう少し活写したい。なぜなら理想主義者がいかなる日本社会の疲弊した状況に挫折したかを見ていくことで、近代史の本質も見えてくるからだ。いや、この農本主義者の理念がなぜ生かされなかったかは、重要な問題だからである。

 かつて(昭和40年代…

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