2021年の新助っ人を「メジャー選手名鑑」の著者が徹底採点

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ジャスティン・スモーク【評価B】(巨人・34歳・内野手・左投両打)

 4月28日のヤクルト戦で来日1号を放った推定年俸3.1億円の大物スイッチヒッターは、巨人の救世主となるのか。

「パワーがウリで、メジャー通算196本塁打。オールスター出場の実績があり、米南部出身のクリスチャンで生活態度もまじめな『模範生』です。ただ、典型的なプルヒッターで、チャンスの場面で打席に立つと気負い過ぎて、強引に引っ張る傾向がある。日本の投手の変化球に翻弄される可能性があります」

■変化球が苦手、良くて打率.230、20本塁打

 左打席の方がよりパワーを発揮するという。

「2015~20年までの6年間のデータを見ると、左打席では13.8打数に1本のペースで本塁打を打っているのに対し、右打席では26.1打数に1本にとどまる。右投手が先発の試合はフル出場する一方、左投手時はベンチスタートが多かった。相手の先発が右投手の時にスタメン起用、左投手の時は右打者の中島と併用(速球派の左投手の時はスモーク、変化球投手の時は中島)すれば、20本塁打以上が期待できる。ただ、カーブを苦手とするなど緩急への対応力に乏しい分、打率は2割3~4分程度ではないか」

 守備の評価は高い。

「ここ数年は太りすぎて以前のような守備の名手ではなくなりましたが、グラブさばきがうまく、ワンバウンドの送球はめったにそらしません。強烈なライナーへの反応もいい。肩も比較的強く、<3-6-3>の併殺プレーの送球も正確です」

メル・ロハス・ジュニア【評価A】(阪神・30歳・外野手・右投両打)

 現在、二軍で調整中のロハスは、日本の3球団による争奪戦の末、2年500万ドル(約5.5億円)で阪神入りした。

「昨年の韓国リーグMVP。パワーと技術を併せ持つ両打ち打者で、昨季は47本塁打、135打点をマークし、本塁打王と打点王に輝いた。もともとはパイレーツのマイナーでくすぶる無名の存在だったが、2017年6月に韓国のKTへ移籍。打撃コーチとマンツーマンで打撃改造に取り組んだ結果、どちらの打席でも本塁打を量産できる打者に大化け。3年半で132本塁打、409打点を叩き出す驚異的な活躍を見せた」

■左打席でアーチ量産

 特に評価が高いのは左打席だ。

「うまくタメをつくってカーブ、チェンジアップをドンピシャのタイミングで逆方向へ運ぶ。右打席ではハイボールヒッター、左打席はローボールヒッター。昨年は低めの変化球にうまくタイミングを合わせてアーチを量産している。阪神ではサンズが韓国リーグで再生後、活躍している。ロハスの成績はサンズの比ではない。ハイレベルな数字を出す可能性は大いにある。ライトの守備もレベルが高い」

フェルナンド・ロメロ【評価B】(DeNA・26歳・投手・右投右打)

 全助っ人がコロナで来日遅れとなったDeNA。先日、二軍戦で最速153キロをマーク。5月中の一軍デビューを目指す右腕は、投壊に苦しむチームに欠かせない。

「ツインズ時代の2018年キャンプでは、マイナーで最も期待が高かった。ただ、伸び悩みもあって、昨年はメジャーで投げる機会がなかった。19年はリリーフに転向したが、それまでは先発で投げていた。先発でもリリーフでも使える。平均球速は154キロ(先発で投げる時の平均。リリーフで投げる時の平均は156キロ)。シュート軌道の沈む速球とスライダーを主体に投げるグラウンドボール・ピッチャー(ゴロ比率の高い投手)で、一発を食らうリスクが低い。メジャーでは先発時の防御率が4.69、リリーフ時は防御率7.07。先発の方が好投する傾向があります」

■課題はチェンジアップの精度

 ただ、課題はある。

「右打者にはキレのあるスライダーが効果的だが(MLBでの通算被打率.222)、左打者への有効な変化球がない。持ち球のひとつであるチェンジアップが主体ですが、チェンジアップが浮いて、痛打されることも多い(チェンジアップの通算被打率.385)。日本で左打者を封じる武器を身に付けることができれば、先発として成功する可能性があります」

ルスネイ・カスティーヨ【評価A】(楽天・33歳・外野手・右投右打)

 デビュー戦となった4月23日の西武戦の第1打席で左腹斜筋を損傷。復帰は6月以降とみられるが、能力は高いという。

「2014年夏にレッドソックスとキューバ亡命選手では史上最高額となる7年7250万ドル(約80億円)で契約。同年9月にメジャーデビューし、華々しい活躍を見せた。超高額契約ということも重なり、5ツール(打撃、パワー、脚、守備、肩)が完璧に揃った逸材だと、期待が高まった」

 その後は、低打率、低出塁率にあえいだり、レッドソックスの外野に人材が揃っていたこともあり、3A暮らしが続き、16年のオフには40人枠からも外れた。

■レ軍時代は超高額契約で冷遇も打撃は一級品

「17年、18年はチャンスメーカーとして3Aで3割を超える打率をマーク。通常ならメジャーでまとまった出場機会を与えられるものですが、いくら打っても一度もメジャーに呼ばれなかった。年俸1000万ドル(約11億円)を超えるカスティーヨを40人枠に入れると、ぜいたく税の適用ラインを超えてしまうからです。あまりにバカ高い契約を交わしたことが自分の首を絞める結果になった。レッドソックスのファンからは、適正年俸(200万~300万ドル程度)なら4人目の外野手としてそこそこ活躍できたのに、欲をかきすぎたため、気の毒な結果になっていると同情されていました」

 33歳とベテランの域に入っているが、「打者としては対応力が高い。高い打率と多くの二塁打を期待できる。早打ちで出塁率は期待できないので、6、7番あたりで使うと生きる。レッドソックスで冷遇され続けた鬱憤を晴らすような活躍が見られるかもしれません」。

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