日ハム新庄監督への“色眼鏡”に変化が…「選手をゼロから見たい」の姿勢に広がる共感

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「4番は足の速い選手とか大胆な発言をしてるけど、奇抜な格好でテレビに出まくって、あれじゃあ、まるで芸能人。チームはいよいよおかしくなっちゃうんじゃないかと危惧してたんだが、周囲の話を聞いているうちに、意外と面白くなるかもしれないと思うようになった」

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 こう言うのは日本ハムOB。9日の新人合同自主トレやスタッフミーティングに顔を出した新庄剛志監督(49)率いる日本ハムに関して、3年連続5位に低迷するチームが変わるかもしれないというのだ。

 このOB氏が新庄監督を好意的にとらえるようになった理由のひとつは、先入観をもたずに選手を見る点だという。

 新庄監督が9日のスタッフミーティングに参加した際、すでにホワイトボード上には選手がざっくりと一、二軍に振り分けられていたそうだ。通常であれば、監督やコーチが相談して決めるところだが、新庄監督は「振り分けはどうぞ、みなさんで決めてください」と言うと、「僕はゼロから見たいので」と続けたという。「ゼロから」とはつまり、先入観を持たずに選手を見ていきたいということ。

■連日のように二軍も視察

 新庄監督は2月1日のキャンプ初日は名護の一軍でなく、国頭の二軍キャンプに足を運ぶと報じられているが、実際は初日どころか連日のように名護から車で40分ほどの距離にある国頭の二軍キャンプも視察する方針らしい。一、二軍の振り分けはあくまでも便宜上であって、最初から色眼鏡で見るようなことはしないというのだ。

 ただし、コーチに対しては「個々の選手のモチベーションがどうなのか分からないので(一、二軍の振り分けに関しての)意見はどんどん言ってください」と言ったという。二軍スタートというだけで落胆してしまう選手も中にはいるかもしれない。そういったことのないよう、選手の性格を把握するコーチは一、二軍の振り分けに関して配慮して欲しいということだろう。

真価が問われるのは実戦で負けが込んだとき

 伸び悩む若手のヤル気を引き出す一方で、新人は徹底して放任する方針でもある。

 昨秋の沖縄キャンプでは動きまくった。今季5年目清宮幸太郎(22)に対しては「ちょっとデブじゃねぇ? ヤセない? ヤセた方がモテるよ」とアドバイス。4年目の吉田輝星(20)には「めっちゃ速くね? オレの現役のとき、打てないわ。速っ!」。言葉巧みに若手のモチベーションを上げようとしたのとは対照的に、新人はまず見ることを徹底している。合同自主トレ初日は新人に声を掛けるシーンがほとんど見られなかったそうだし、コーチ陣に対しても「新人は教えないで。(教えることを)我慢してください」と改めてクギを刺したようだ。

■嫌だったことはやらない

 スカウトはいま現在の姿を評価したから獲得したわけで、まずは思うようにやらせてみる。

 結果が出なかったり、壁に当たったりしたときに、どうするか考えればよいというのは日本ハムの育成方針でもある。

「スタッフミーティングでは阪神、日本ハムで同僚だった山田勝彦バッテリーコーチ(52)に冗談を飛ばすなど終始、明るく、よく笑っていたと聞きました。けれども、ただニコニコしているだけじゃない。自分が現役時代にさまざまな監督、コーチに接してきて、彼らのいいとこ取り、逆に言えば自分が嫌だったことはやらないという方針なのだと思う。キャンプは遅い時間まで練習するというし、ふてくされてる選手は即座に二軍落ちさせるといいます。信賞必罰というか、いざ実戦が始まって結果を出せない選手に対してはかなり厳しくすると思いますね。勝つために必要なことは何かを考え、それを徹底しそうな気がします」(前出のOB)

 新庄監督の言動はいちいちもっとも。とはいえ、真価が問われるのはうまくいかなかったとき、実戦で負けが込んできたときの言動や選手起用だろう。窮地に立たされても周囲を納得させられるか、自分のスタンスを貫けるかだが、これまでその能力に懐疑的だった周囲やOBの新庄監督に対する見方が変わってきたことだけは間違いない──。

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