コロナ禍のACLアウェー戦 熱烈サポーター観戦記②ジョホールバルからフロンターレに愛を込めて

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 シンガポールからの国境越えは、重たいスーツケースもあるし、やはり「国際タクシーがいいんじゃない?」と(1回目に登場したFC東京サポの)タヌキさんからアドバイスをいただきました。

 この国際タクシーというのは、シンガポールからマレーシアへ国境越えが出来るタクシーのことです。ローカルバスの旅も好きなんですが、今回は国際タクシーにしようと決め、市内にある乗り場をグーグルマップで確認……あれっ!?  

 そこには目を疑いたくなるような文字が。

「臨時休業」

 稼働してないってことよね。

■タクシーもバスもない!

 気を取り直し、チャンギ国際空港からジョホールバル(JB)に行くTS1というバスにしよう! と思ってバス会社のサイトをチェック……でも、どこをどう探してもTS1もない。

 この状況を(やはり1回目に登場したフロサポの)いたさんとようへいさんに伝え、他の移動手段を探すことに。

 でもね、もうテンションは下がったりはしないし、むしろ面白がって調べています! そう、ワタシ、一人じゃないからね。

 結局、JBと海を挟んだウッドランズという街から出ている分しか、バスではJBに辿り着けないということが分かり、おまけに完全予約制!

 国境が開かれたといっても、急に往来がコロナ禍の前に戻るわけはないということ。まだまだ平常時じゃないないことを痛感させられました。

 でも、行く前に分かって良かった! と前向きに。次に認識したことは現在、マレーシアは「ラマダンの真っ最中」ってこと。2022年は4月2日~5月2日。ということは今回の遠征中、ずっとラマダンということになります。

滞在中はずっとラマダンで断食

 ラマダン中は、言うまでもなく「断食」。1日中飲食が禁じられているのではなく、日没から日の出までは許されています。でもね、日が出ている間は水さえ飲むことが出来ないとなるとあの暑さの中、相当にキツイことは十分に予測できます。

 あっ! そういうことか! ジョホール・ダルル・タクジム(JDT)戦のキックオフが、日の落ちた「現地21日午後10時(日本時間午後11時)」ということが、やっと腑に落ちました。

 まだまだ「深夜のスタジアム帰りのタクシーを呼ぶ方法」、マレーシアで必須のアプリの画像の国籍が「マレー人になったままの対策」などに振り回されつつ、地域FM・エフエム世田谷の番組内に「Zoomでレポートを入れる段取り」にも四苦八苦している中、15日にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループステージが始まりました!

 川崎フロンターレの初戦は、韓国の強豪・蔚山現代が相手。実はうち、蔚山には勝てていないんです。

難敵相手に初戦はドロー発進

 番記者の江藤高志さん(@etotakashi)の会員制サイトによると「2014年にACLグループステージで初対戦してから5戦して2分け3敗(21年のPK対戦は1敗としてカウント)とのこと。

 ううむ、今回は絶対に勝たないと! とドキドキハラハラしながら自宅でDAZN観戦しました。

 前半は、やっぱり優勝候補と言われるだけあって蔚山、強いわ! という展開。うちは重心が後ろに掛かり、うまく攻撃に移っていけない状況。

 不安な気持ちでいると前半21分、元Jリーガーのレオナルドに先制ゴールを決められちゃいました。シュート前のトラップが腕に当たってハンドっぽいんだけど……と思っても、ACLのグループステージにVARはなし。

 前半30分くらいに飲水タイムが設けられ、そこから息を吹き返す川崎。後半はシステムを変更していい感じにゲームが進み始める。しかしゴールが決まらない。もぅ~焦れる、焦れる。

 そしてアディショナルタイム。脇坂泰斗のCKをGKがファンブル。そのこぼれ球を車屋先生(チーム内でもサポからも先生と呼ばれる理由は「文才があって文豪みたい」と(OBの中村)憲剛が言ったからとか)が、押し込んで決めた!

 そしてホイッスル。ギリギリで追い付いて試合終了。ホントに負けないで良かった。

仲良し「熊本兄弟」も活躍

 ちなみにマメ知識を追加しちゃいますね、

 初戦のCB2枚、谷口彰悟と車屋紳太郎のことを「熊本兄弟」と呼びます。 2人は実家がご近所さん。小学生時代から一緒にサッカーボールを蹴って大津高、筑波大、そして川崎フロンターレとずっと一緒の仲良し兄弟だからです。

 そうそう! この試合が行われたラルキンスタジアム(タン・スリ・ダトー・ハジ・ハッサン・ユヌス・スタジアム)は、1997年のフランスW杯アジア第3代表決定戦・日本代表とイラン代表がし烈な戦いを演じたところ。

 当時のことをライブで知らない人も、映像で目にしたことはあるよね。

 あの野人・岡野が劇的なVゴールを決めたシーン。ワタシは5、6試合目で日本サッカーにとって歴史的なスタジアムに足を踏み入れますね。

 それにしてもDAZNの画面越しに見るスタジアムのバックスタンドには観客がいない……。メイン側に数人くらい? なんて思ったほど。かなり寂しい光景でした。

 どうしよう。ワタシは(応援のための)太鼓も叩けないし、コールリーダーにもなれない。はるばる現地まで行って、スタンドで何が出来るのだろうか……とツラツラ考えながら「よし! 日の丸に川崎 フロンターレと書こう!」とさっそく文字入れをやりました。

▽井上梨紗(いのうえ・りさ) 東京都出身のフリーランス・アナウンサー。高校時代からモデル活動を始め、大学時代に「東京アナウンスアカデミー」を修了。ラジオ、テレビ、各種イベントなどでMCやレポーターを務める。2003年から4年間の豪州在住経験を生かして留学関連アドバイザー、大好きなサッカー関連のセミナーやシンポジウムのMCなど活躍の場は多岐に渡る。

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