ヤクルト村上「シーズン60本」達成は…残り試合と対戦成績から強い現実味、カギは3位争い

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「投手は今の村上に投げる球がない」

 巨人のセットアッパーとして活躍した橋本清氏もこう言った。

「投手からすると、今の村上には投げる球がないというのが正直なところです。対右投手、左投手の対戦成績を見ても、右投手に対して打率.320、34本塁打に対し、左投手には.385、18本塁打。本塁打率はむしろ対左投手の方が高い(対右=8.4打数に1本、対左=7.5打数に1本)。本塁打方向も右翼方向に23本、中堅方向に12本、左翼方向に17本と広角です。この日の52号も阪神のエース・青柳が投じた外角の144キロ直球を、バックスクリーン左に叩き込む圧巻の一打でした。投手はお手上げですよ。好調な打者を抑えるには、打席で打者の足を動かすのが鉄則。内角の足元近くを狙ったり、外の緩い球でボールを追いかけさせるのもそのひとつです。軸を崩すことで、勝機が生まれるのですが、村上は特に低めの球の見極めが素晴らしく、ボール球には手を出さないし、軸がぶれない。投手からすれば唯一、やや窮屈そうにバットが出てくる高めのつり球に活路がありそうですが、球威とコントロールがなければ、一発長打の危険と隣り合わせ。投げ切れる投手は少ない。今季、日本記録の5打席連続本塁打を放った村上は本塁打の固め打ちができる。1試合2本塁打以上の複数アーチが11試合。残り21試合で60号は夢の数字じゃないでしょう」

■カギ握る3位争いと胴上げ日

 ただし──と、橋本氏は懸念材料も口にする。3位阪神から6位中日までが5ゲーム差内にひしめく、熾烈な3位争いを展開していることだ。

「優勝は諦めても、3位阪神に5.5ゲーム差の2位DeNAも含め、CS進出を懸けた負けられない戦いが、シーズン最終盤まで続きそうな流れですからね。1勝、1敗の重みが増す中、ヤクルト戦では村上との勝負を避ける場面も増えるはずです。露骨な敬遠策に出ないまでも、仮に走者がいない場面でも、村上には四球OK、ストライクゾーンでは勝負するな、との指示がベンチから出るはずです。Bクラスが確定し、消化試合に突入する球団が出てくれば、村上の本塁打のペースも上がってくると思いますが……」

 3位争いの行方に加えて、評論家の権藤博氏はこう言っている。

「ここまで、四球数(102)は12球団で断トツ。特に最近は、投手がまともに勝負をしてこない。打ち気にはやっておかしくない状況に置かれながら、まったく動じず、ボール球にはまず手を出さない。ヒットもホームランも四球も、チームに貢献するという意味では同じ。押しも押されもせぬ4番になって、オレがオレがと、ある種のエゴが許される立場になっても、その信念が揺るがない」

 残り21試合で60号に到達するには、本塁打を狙うという「エゴ」も必要。しかし、チーム打撃が染み付いた村上が、自らの記録のために打席に立つことがあるとすれば、ペナントレースが決してからだろう。つまり、ヤクルトがいかに早くリーグ連覇を果たすか。チームの優勝の時期も最多本塁打記録に影響しそうだ。

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