大谷の鬼気迫る咆哮が浮足立つベンチのムードを変えた…メキシコ戦サヨナラ勝利の舞台裏

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継投遅れ、左の打撃投手不在…右用グラブでキャッチボールを

 今大会の首脳陣は栗山監督の意向に沿って組閣されたが、ファンの間でも「ナゾの人選」と言われたのが吉村打撃コーチだった。巨人OBで15歳以下の代表チームの監督を務めた経験があり、現在は巨人で外国人選手の編成に関わっている。それなりに経験はあったが、栗山監督との接点はないそうで、大会期間中、野手ミーティングはデータ分析会社のデータスタジアムのスタッフが中心に行っていたという。

 準決勝直前の練習日。対戦相手のメキシコは左腕のサンドバルの先発が予想されていた。しかし、スタッフの人数には限りがあり、左投げの打撃投手がいなかった。左腕の厚沢投手コーチが打撃練習で投げるなど苦心する中、同じ左投げの吉村コーチが代われば良さそうなものの、右投げ用のグラブを右手にはめて清水コーチとキャッチボールしただけ。結局、右投げの清水コーチが打者相手の打撃投手を務めた。

 準決勝は八回にメキシコに勝ち越され、窮地に追い込まれたが、大谷が鬼の形相でチームを鼓舞。劇的なサヨナラ勝利を呼び込んだ。

 ヌートバー(カージナルス)は試合後、MLBネットワークに出演。司会者から「彼が表した感情は、これまで見たことがない。まるで(レスラーの)ハルク・ホーガンのようだった」と振られると、興奮気味にこうまくし立てた。

あの翔平があんなにも感情をあらわにした。静かで冷静な男が熱くなるとみんなも熱くなる。翔平は最高だったよ」

 大谷がいなければ世界一奪還はおろか、準決勝を突破できていたかどうかもわからない。(つづく)

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