著者のコラム一覧
春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

IOCが「2030年ウクライナ冬季五輪」の英断を下せば商業主義批判にも答えが出せる

公開日: 更新日:

 1985年から導入されたオリンピックマーケティングによって、五輪は収益が得られるイベントとなり、運営費はその収益で賄えるようになった。この頃から商業主義と批判されるようになる。全ては利益追従のためにあると。全ての収益の90%は国内オリンピック委員会(NOC)、国際競技連盟(IF)、大会組織委、コーチ、選手などに配分され、10%がIOC運営費になる、とIOCが会計報告を開示しても批判はやまない。猛暑での開催や人気競技の時間編成がテレビ放映権優先なのは事実だから仕方がない。

 IOCは批判を意識してか、14年に五輪改革綱領を発表、SDGsに気を配り、地球温暖化対策に積極的な姿勢を見せる。「オリンピックの森」はサハラでの植林活動。CO2排出量を過去大会の50%にするパリ五輪。これらの取り組みは評価するが、最も大事なことはオリンピックが戦争を停止させることだ。

■320以上の競技施設が壊滅状態だが…

 オリンピック休戦を破ったロシア・ウクライナ戦争が眼前にあるのだ。ウクライナでは320以上の競技施設が壊滅状態にある。「ウクライナで冬季五輪2030を!」とIOCが叫ぶ時、オリンピック運動の歯車は戦争停止に向けて始動する。選手、NOC、IF、そしてスポンサーもウクライナ冬季五輪開催に動き出す。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし