楽天1位・宗山塁 父子の二人三脚《一日も欠かさず》9年間…「私がしんどくても、容赦してくれなかった」

公開日: 更新日:

宗山塁(楽天・内野手・明治大学・21歳)

 宗山は、広島県三次市三良坂町で長男として生まれた。父の伸吉さん(50)は広陵野球部出身で息子の“大先輩”。ケガで選手の道を断たれ、長男に夢を託した。「塁」という名前がそれを物語る。

 宗山は三良坂小1年時に伸吉さんが監督を務める「三良坂少年野球クラブ」で野球を始めた。三良坂中時代に在籍した「高陽スカイバンズ」(軟式)でも3年間、コーチの父から指導を受けた。

 伸吉さんは宗山が小学校、中学校に通った9年間3285日、一日も欠かさず自宅での練習に付き添った。

「『一日も欠かさず』というと疑われるかもしれませんが、事実なんです。私はもともと体が強くて、病院には縁がなかった。お世話になったのは整形外科くらい。旅行も1泊することはありましたが、朝に練習をやってから出発し、帰宅してからもバットを振っていました」

 伸吉さんは三次市役所三良坂支所の係長。土日は三良坂少年野球クラブの監督を務める。仕事で疲れても練習に付き添い続けたのは、宗山が一度も弱音を吐かなかったからだ。

「私の方がしんどくて、どうしても疲れて休みたいときがある。でも容赦してくれなかった。あの男には休みという概念がないんだと思います。(『毎日練習すると約束できるなら少年野球クラブに入ってもいい』と)こっちが言い出したこと。約束は破れない。中学卒業まで頑張りました」

 自宅前の庭に造った練習場の広さは5メートル四方の約25平方メートル。網を張って打撃ケージを造り、トレーニング用のタイヤも設置した。宗山が小学3年時、建設業の知人に頼み、1週間で造り上げた。屋根付きで雨が降っても練習ができる。打撃練習だけでなく、屋根にひもをくくりつけて上れば腕も鍛えられた。

「最初は通販でも売っているような普通のティーバッティングネットを買ったんですが、頻度が高すぎて全然話にならない。小学校1年生のときに買ったけど、1年くらいでダメになりました。毎日やっていたらすぐ壊れて、毎年買うのもガラクタが増えるばっかりになるので、練習場を造っちゃいました。費用? 内緒です(笑)」

 練習場の隣にあるあずまやはバーベキュースペース。そばの田んぼの周りを走ったり、川で泳いだり。運動の環境は申し分ない。

 宗山は野球を始めて自然と左打ちになった。伸吉さんは宗山が小学4年の頃、右手で箸の使い方をマスターすると、左手に替えて持つよう促した。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本ハムが新庄監督の権限剥奪 フロント主導に逆戻りで有原航平・西川遥輝の獲得にも沈黙中

  2. 2

    白鵬のつくづくトホホな短慮ぶり 相撲協会は本気で「宮城野部屋再興」を考えていた 

  3. 3

    DeNA三浦監督まさかの退団劇の舞台裏 フロントの現場介入にウンザリ、「よく5年も我慢」の声

  4. 4

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  5. 5

    佳子さま“ギリシャフィーバー”束の間「婚約内定近し」の噂…スクープ合戦の火ブタが切られた

  1. 6

    半世紀前のこの国で夢のような音楽が本当につくられていた

  2. 7

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 8

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  4. 9

    田原俊彦「姉妹は塾なし」…苦しい家計を母が支えて山梨県立甲府工業高校土木科を無事卒業

  5. 10

    プロスカウトも把握 高校球界で横行するサイン盗みの実情