広島1位・佐々木泰の父は会社社長 熱を入れた息子の野球応援が「2億円」の事業に化けた

公開日: 更新日:

佐々木泰(広島1位/青山学院大・21歳・内野手)

「大誤算でした。もともと私も妻も会社員生活に疲弊していて、親父が経営していた会社に入れば少しは楽できると思っていたんですけどね(笑)」

 苦境の時代をこう振り返る父・貴さん(62)は、従業員75人を抱える製造会社「ステラ金属株式会社」の代表取締役社長を務める。

 26歳で純子さん(62)と結婚。貴さんは機械メーカー、純子さんは服飾メーカーに勤務していたが、結婚の翌年に退職し、家業を手伝うことになったものの……。

「従業員は20人ほどいましたが、まさに破綻寸前でした。これはとんでもないところに来てしまったなと。元いた会社には戻ろうにも戻れないし、毎日頭を抱えながら新規販路開拓や技術転用による新製品開発などガムシャラになって働きました。妻にもフォークリフトやトラックを運転してもらったりして……」

 もともと自転車のカゴや子供を乗せる補助席などを製造していた。

 インテリアや販売店の商品陳列棚などの日用の什器を扱い始めて経営難から脱出。驚異的なV字回復を成し遂げて、現在に至る。

 夫妻は、第1子である長男を36歳、次男の佐々木を40歳で授かった。野球経験はなく、夫婦ともにスポーツとは縁がなかったが、長男が地元の少年野球チーム「小野野球少年団」に入団したことで、幼稚園児だった佐々木も兄を追って入団した。貴さんが言う。

「それからというもの、泰は長男の友達に交ざって暇さえあれば野球をしていました。運動神経はそこで培われたのかな。ただ、近場の公園では全力で練習できません。息子たちがあまりにも熱を入れるものだから、泰が小2の時にサプライズを計画した。ウチの会社で使わなくなった工場跡地に練習場を造ろう、と。幅約5メートル×15メートルの敷地に、高さ3メートルのネットを張り、地面には人工芝を敷き詰め、ピッチングマシンを置いて。夏の暑い日に汗だくになりながら3日ほどで完成させました」

 貴さんは息子2人の成長を見守るうちにすっかり野球にのめり込み、家族でプロ野球観戦に足しげく通うようになった。当時の小野野球少年団の活動は土日のみ。必ずしも強豪チームとはいえなかったが、負けるたびにもどかしさが募った。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    名球会入り条件「200勝投手」は絶滅危機…巨人・田中将大でもプロ19年で四苦八苦

  2. 2

    永野芽郁に貼られた「悪女」のレッテル…共演者キラー超えて、今後は“共演NG”続出不可避

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    07年日本S、落合監督とオレが完全試合継続中の山井を八回で降板させた本当の理由(上)

  5. 5

    巨人キャベッジが“舐めプ”から一転…阿部監督ブチギレで襟を正した本当の理由

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    巨人・田中将大が好投しても勝てないワケ…“天敵”がズバリ指摘「全然悪くない。ただ…」

  3. 8

    高市早苗氏が必死のイメチェン!「裏金議員隠し」と「ほんわかメーク」で打倒進次郎氏にメラメラ

  4. 9

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  5. 10

    三角関係報道で蘇った坂口健太郎の"超マメ男"ぶり 永野芽郁を虜…高畑充希の誕生日に手渡した大きな花束