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安倍昌彦スポーツライター

1955年、宮城県生まれ。早大卒。アマ時代に捕手としてプレーした経験を生かし、ドラフト候補のボールを実際に受けて取材するスタイルを確立。通称「流しのブルペン捕手」。自身が責任編集を務める雑誌「野球人」を始め、著書、寄稿は多数。

青学大・中西聖輝が“鬼の東都”で無双できるワケ…腕の振りの強弱で球種は判別困難

公開日: 更新日:

打者がお手上げの「生きたボール」

 スライダーらしきもの、カットらしきもの、そしてフォークらしきもの……ネット裏最前列からの注視でも判別困難なのは、一つは猛烈な腕の振りだ。強い、強い……漫画じゃないが、リリースの「ビュン!」という音が聞こえてくるようだ。

 腕の振りの強弱で球種の察しがつかないから、球道を追うしかない。学生球界の腕利きバットマンたちが、しっかり球道を追って振っているのに、なぜまともに当たらないのか?

 そうか……振ってから曲がってるんだ。バッターが真っすぐだと思って振り始めてから曲がるから、バッターはお手上げ……そういう「生きたボール」を、中西投手は投げ込んでくるんだ。

 その答えは、しばらくして明らかになった。学生球界の大舞台「全日本大学選手権」でのこと、中西投手に封じられた打者の談話にこんなのがあった。

「全球種が速球に見えた」

 この短いコメントが、快腕・中西聖輝を見事に言い当てていた。

▽中西聖輝(なかにし・まさき)2003年12月18日、奈良県生まれ。智弁和歌山高から青学大。高校3年時にエースとして夏の甲子園優勝。182センチ、90キロ。右投げ右打ち。

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