青学大・中西聖輝が“鬼の東都”で無双できるワケ…腕の振りの強弱で球種は判別困難
打者がお手上げの「生きたボール」
スライダーらしきもの、カットらしきもの、そしてフォークらしきもの……ネット裏最前列からの注視でも判別困難なのは、一つは猛烈な腕の振りだ。強い、強い……漫画じゃないが、リリースの「ビュン!」という音が聞こえてくるようだ。
腕の振りの強弱で球種の察しがつかないから、球道を追うしかない。学生球界の腕利きバットマンたちが、しっかり球道を追って振っているのに、なぜまともに当たらないのか?
そうか……振ってから曲がってるんだ。バッターが真っすぐだと思って振り始めてから曲がるから、バッターはお手上げ……そういう「生きたボール」を、中西投手は投げ込んでくるんだ。
その答えは、しばらくして明らかになった。学生球界の大舞台「全日本大学選手権」でのこと、中西投手に封じられた打者の談話にこんなのがあった。
「全球種が速球に見えた」
この短いコメントが、快腕・中西聖輝を見事に言い当てていた。
▽中西聖輝(なかにし・まさき)2003年12月18日、奈良県生まれ。智弁和歌山高から青学大。高校3年時にエースとして夏の甲子園優勝。182センチ、90キロ。右投げ右打ち。