青学大・中西聖輝が“鬼の東都”で無双できるワケ…腕の振りの強弱で球種は判別困難
中西聖輝(青学大)
とにかく、投げるたびに抑えてしまう。
「鬼の東都」とも呼ばれる学生球界最高レベルの野球技術と、選手の質と、勝利に対する執着心の高さが渦巻くリーグ戦で、この春まで5連覇。
その投手陣の絶対的エースとして3年春からの4シーズン、いつもコンスタントな内容で結果を出して、チームを勝利に導く。
その理由はなんだ?
アベレージ145キロ前後の速球にスライダー、カーブ、カットボールに勝負球はフォークか、チェンジアップか。とんでもなく速いわけでもなく、変化球の品揃えも、よくある顔ぶれだ。
182センチ、90キロの体格だから、とんでもなく角度があるわけでもなく、よくいるオーソドックスなオーバーハンドだ。確かに低めの制球に投げ損じがほとんどないし、軽快なテンポで遠慮なく攻めてくるから、打者はつい受け身になり、あっという間に追い込まれる。そこまではスタンドから遠目で見てもわかったが、何シーズンも「無双」を続けられるのはなぜか?
こういう時、構えたミットで受けてみれば即わかるのだが、すぐに……ってわけにもいかない。ならば……疑似体験でいこう。
東都大学リーグ戦、神宮球場ネット裏・最前列に腰を下ろす。球道が見やすいように角度をつけて、ちょい一塁側の席だ。
案の定、相手打線が打ち損じと空振りを繰り返す。カーブは落差の大きなタテ軌道なので、わかる。あとは何を投げているのか? 持ち球はわかっているのだが、なかなか区別ができない。