「阪神ファンとダイビング」井上章一著
「阪神ファンとダイビング」井上章一著
今年も、プロ野球・阪神タイガースの優勝を祝って、多くのファンが大阪・ミナミの戎橋から道頓堀川に飛び込んだ。この戎橋を中心とするあの熱狂は、1985年に始まった。同年11月2日の日本シリーズ終了後、梅田に集結して、阪神百貨店前で気勢をあげた阪神ファンは、御堂筋を南進し、道頓堀へと向かう。この現象は、ファンの中に1959年に日本シリーズを制した旧南海ホークスが行った最初で最後の御堂筋パレードへの憧れがあることを暗示していると著者は指摘する。当時は、道頓堀川以外の場所でもファンは川や池に身を投げていたという。
プロ野球の歴史を振り返りながら、御堂筋と道頓堀川と阪神ファンの関係の変遷を、大阪という都市の歴史と絡めて論じたユニークな文化論。
(祥伝社 1012円)