私は“お義母さん”と結婚したんじゃない! 姑はまるで上司…「実家マウント」に妻がとった対抗策

公開日: 更新日:
コクハク

夫婦の間に横たわる“帰省問題”

 幸せなはずの新婚生活に影を落とす、姑との問題。令和の時代でも根強く残る嫁姑トラブルに直面したケースをご紹介します。

「結婚して家族が増えたと思ったら、“上司”ができてただけだった」

 そうぼやいたのは、私の友人・アヤ(30歳・Webデザイナー)だ。穏やかで誰とでも柔らかく接するタイプの彼女がため息をついたのは、結婚2年目の夏のことだった。きっかけは、ただの“帰省”だったという。

 アヤと夫・リョウ(33歳・メーカー勤務)は共働き。年に数回だけそれぞれの実家に帰るのが恒例だった。

「お盆、私の実家に帰ってもいい?」とアヤが言うと、夫は「母さんが“うちに来てね”って言ってたんだよね」と返した。

「でも、去年もお義母さんの家に行ったよ?」

 そう伝えると、夫は「母さんも楽しみにしてるし、親孝行したいし」と言う。

 その言い方が“俺は悪くない”という逃げに聞こえ、アヤは胸の奥がモヤモヤした。結局、お盆は夫の実家で過ごすことに。

【読まれています】義母「うちの子そっくり」にザラつく…。“孫フィーバー”の裏、無視され続けた嫁の叫び。私は透明人間じゃない!

「うちが一番」に隠されたマウント

 義実家に着くなり、姑が満面の笑みで出迎えた。

「よく来たわね~。リョウも“うちに来るのが一番”って言ってたのよ」

 その一言に、アヤは苦笑いを浮かべた。“うちが一番”は、「嫁の実家より自分の家が上」という意味に聞こえた。滞在中も姑は張り合ってくる。

「あなたの実家は帰らないの? でも嫁に来た以上、こっちが筋よね」

 アヤが何か言うより早く、夫がフォローする。

「母さんも悪気ないんだよ。ただ、孫の顔を見たいだけでさ」

――“中立を装った姑寄り”。アヤの中でそんな言葉が浮かんだ。

 夕食の準備も姑主導だった。

「アヤさん、こっちの味付け覚えてね。リョウが好きなのは“うちの味”だから」

 夫は横でテレビを見ながら「母さんの煮物、最強だな」と呑気に言う。

(結婚して“家族”が増えたんじゃなく、“上司”が増えただけ)

 アヤはそう思った。義母が方針を決め、夫が中継し、自分は実務をこなす――まるで家庭という職場の下っ端のようだった。

母からの電話に涙

 お盆が明け、ようやく自宅に戻ると、実母から電話があった。

「今年は帰ってこられなかったのね。お母さん、楽しみにしてたのよ」

 優しい声に、アヤは涙が込み上げた。

「ごめんね、お義母さんのところ優先で」

 母は少し沈黙して、「無理しすぎないでね」とだけ言った。

私は誰と結婚したの?

 数週間後、正月の帰省予定を立てる時期になり、アヤは言った。

「今年のお正月は、私の実家に行きたい」

 夫はすぐに「母さんが“おせち一緒に作ろう”って」と言う。

 アヤは静かに尋ねた。

「ねぇ、いつも“母さんが”ばかり。私の意見はどこにあるの?」

 夫は「そんな怒ることじゃ…」と口ごもり、アヤの中で何かが切れた。

「私、誰と結婚したんだろう? あなた? それともお義母さん?」

 夫は黙り込み、しばらくして「分かった、今年は君の実家に行こう」と言ったが、“譲ってやった感”が透けて見えて心から喜べなかった。 

「結婚って家族が増えることだと思ってたの。 でも実際は、“優先順位”の戦いになるんだね」

 アヤは少し寂しそうに笑った。

帰省ルールを明確化

 数カ月後、夫婦で話し合い、“帰省のルール”を作った。

・お盆は夫の実家
・正月は妻の実家
・それ以外は自由に訪問OK

 その結果、姑の圧も和らぎ、夫も母と距離を取れるようになった。

「ようやく、“母さんの子ども”じゃなくて、“私のパートナー”に戻った気がする」

 そう言う彼女の顔には、ようやく安堵の笑みが戻っていた。

二人でどう生きるか

“帰省問題”は、どこの家庭にもある。だがそれは、「どちらの家に行くか」ではなく、“誰を優先するか”の問題だ。

「結婚して家族が増えたと思ったら、上司ができてただけだった」

 アヤの言葉には、笑い話では済まされないリアルが詰まっていた。

 夫婦に必要なのは、親を立てることではなく、“二人でどう生きるか”を決める覚悟なのだ。

(おがわん/ライター)

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  2. 2

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  3. 3

    Snow Man目黒蓮と佐久間大介が学んだ城西国際大メディア学部 タレントもセカンドキャリアを考える時代に

  4. 4

    ポンコツ自民のシンボル! お騒がせ女性議員3人衆が“炎上爆弾”連発…「貧すれば鈍す」の末期ぶりが露呈

  5. 5

    高市新政権“激ヤバ議員”登用のワケ…閣僚起用報道の片山さつき氏&松島みどり氏は疑惑で大炎上の過去

  1. 6

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  2. 7

    田村亮さんが高知で釣り上げた80センチ台の幻の魚「アカメ」赤く光る目に睨まれ体が震えた

  3. 8

    自維連立が秒読みで「橋下徹大臣」爆誕説が急浮上…維新は閣内協力でも深刻人材難

  4. 9

    ラウールが通う“試験ナシ”でも超ハイレベルな早稲田大の人間科学部eスクールとは?

  5. 10

    「連合」が自民との連立は認めず…国民民主党・玉木代表に残された「次の一手」