星野楽天にサヨナラ打で “恩返し”の直後に嶋基宏から緊急電話…「大変なことになっています」
「引き際を考えろ」
2013年4月8日、二軍での再調整を命じられた俺の脳裏に、父親から常々言われていた言葉が浮かんだ。
父親には、現役でバリバリ活躍していた頃から「プロの世界で名を残して、タイトルも取れた。だからこそ、引き際が何より大事なんだ」と言われていた。
引き際か、どうしよう。自分自身で決めた線を越えたら身を引こうと決めた。線は「二軍落ち」に設定。次に二軍へ行けと言われたときが辞め時だ。こんな自分を拾ってくれた中日に、これ以上迷惑はかけられないと思った。
一方、交流戦で仙台のファンに元気な姿を見せたいという心の炎も消えていなかった。1カ月後の5月14日に一軍昇格。17日の楽天との交流戦(ナゴヤドーム)に何とか間に合った。
2対3の九回裏、1死二、三塁で代打に。一打サヨナラのチャンス。相手投手は抑えの青山浩二だった。
青山の武器はシュート。俺の最も苦手とする球種だったから、絶対打てねえと半ば諦めていたが、2球目の内角シュートを左前にはじき返して会心のサヨナラヒット。いまだになぜあのシュートが打てたのか分からない。プロ野球人生であんなにキレイにシュートを「ド芯」で打てたのは、初めてだった。
「ざまあみろー!」
めちゃくちゃうれしかった。自分をクビにした星野仙一監督を見返したい。その一心で現役を続けてきた自分にとって、最高の“恩返し”になったと思う(44歳6カ月でのサヨナラ打はNPB最年長記録)。
星野監督のいる楽天ベンチにもガッツポーズ。すると、監督がすぐさまベンチ裏へ引っ込む瞬間を見逃さなかった。ハラワタ煮えくり返っとるやろうな。してやったり、と喜んだのも束の間、ふと我に返り、青山と捕手の嶋基宏の身を案じた。
そして、その心配は的中する。
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