星野監督が楽天最後の試合前に言い放ったこと…“胴上げ”企画の犯人探しまでやっていた
2011年シーズンの終盤、星野仙一監督からクビを言い渡された。しかし俺は現役続行を希望。怒りに震える監督に、「辞めるって言っただろうが!」と首根っこを掴まれても気持ちは揺るがず、球団には自由契約にしてもらった。
10月10日、楽天最後の試合(ロッテ戦)に臨んだ。さすがにスタメンだろうと思ってメンバー表に目をやると、俺の名前がない。最後なのにスタメンじゃねえのかよ!? と思ったが、のちにこんな話を聞いた。
田淵(幸一)さん(一軍ヘッドコーチ)が「4番 山﨑」と書いたメンバー表を監督に渡すと、こう言い放ったという。
「4番じゃなくてええ。1打席だけや。まだCS(クライマックスシリーズ)の可能性も残っとるんやから」
そのひと言で俺の名前は消え、4番はガルシアに変更された。俺はメンバー表に名前がないことを知ると、「このまま代打でも呼ばれず終わるんだろう」とすぐに諦めがついた。
が、七回裏にガルシアの打席で代打のコール。ここで!? と再び驚いた。打席でロッテの捕手・田中(雅彦)がマスク越しにこう言ってきた。
「ガチ勝負でお願いします」
「おう、望むところだ」
そうは言ってみたものの、打撃は絶不調。「打てるわけねえよ」と思いながらバットを構えた。
吉見祐治の投じた1球目をファウルした直後の2球目を中前にはじき返した。これが楽天最後の打席。間違いなく仙台のファンが打たせてくれた会心の当たりだった。
後輩たちは試合前、「山﨑さんのために勝利をプレゼントしよう」と言ってくれた。6対1で勝利し、8勝目を挙げたドラ1ルーキーの塩見(貴洋=現楽天投手コーチ)と共に、チームメートの計らいでお立ち台に立たせてもらった。スタンドからは割れんばかりの山﨑コール。涙をこらえきれなかった。
「こんな寂しいヒーローインタビューは初めてですね……」「この恩は一生忘れません。ありがとうございました……」
お立ち台の後、ベンチにいる選手たちに挨拶すると、中島俊哉や牧田明久が目頭を押さえ、手で涙を拭っていた。嶋基宏は必死に涙をこらえていた。いずれも今までキツく叱り飛ばしてきたかわいい後輩だから、余計にうれしかった。チームのために嫌われ役を買って出て、みんなには厳しく接してきたけど、愛情として伝わっていたんだと実感した。
嶋に促されてスタンドのファンに挨拶。ベンチに戻る中、選手が次々と集まってきた。
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