軍事と戦争(3)北極海の氷の下は戦略原潜の格好の隠れ家
「見えない戦争」北村滋著
「見えない戦争」北村滋著
見えない戦争とは何か。まず情報空間の戦争。ウクライナを侵略するロシアの勢いを大きくそいだのがこれだ。逆にイスラエルにはテロ攻撃の事前情報はあったが、解釈を誤ったためにハマスによる悲劇を招いた。情報の分野だけではない。北極海の氷の下は戦略原潜の格好の隠れ家で、この出口を押さえることが核抑止の根幹に直結する。
また資源や半導体、エネルギー、食料やそのほかの物流全般は市場原理に委ねられているようでも、有事になると国家権力の道具になり「武器」になる。サプライチェーンの脆弱性は「ミサイルよりも確実に相手の戦力を無効化し得る」のだ。この中で日本はどうすべきか。日本はユーラシア大陸のリムランド(縁辺部)に位置する。それは大陸のハートランド(心臓部)と対峙する立場だ。「安全保障は米国に委ね、経済は中国と深める」という発想はもはや成り立たない、と著者はいう。
警察官僚から安倍政権の首相秘書官を経て国家安全保障局長を経験した著者。「21世紀の世界は、もはや『平和を前提とした秩序』の延長線上には存在しない」とする新しい武断派の書。 (文藝春秋 1210円)


















