佐々木朗希が天秤にかけた「憧れ」「ダル」「カネ」 移籍先の最終候補に残っていた3球団

公開日: 更新日:

2024年1月の記事②を再掲載

 佐々木朗希が不甲斐ない投球を見せるたび、SNS上では辛辣な声が吹き荒れる。高卒3年目に1試合19奪三振の日本記録、史上最年少の20歳5か月で完全試合を達成するなど投手として圧倒的なポテンシャルを持ちながら、なぜここまで叩かれるようになったのか。

 その背景には、ファンから「ゴネ得」とも揶揄された米挑戦騒動がある。23年オフに大きな物議を醸した古巣ロッテとの泥沼交渉劇、24年シーズンの不完全燃焼、そしてタンパリング疑惑まで取り沙汰されたドジャース入り──。日本球界最後の1年に何があったのか。当時の記事で振り返る。年齢、肩書は当時のまま。

  ◇  ◇  ◇

 佐々木朗希(23)の移籍先、どうやら3球団に絞られたようだ。

 面談にこぎ着けたといわれる球団のうち、ヤンキース、メッツ、レンジャーズ、カブス、ジャイアンツには断りの連絡が入り、残ったのはドジャース、パドレス、ブルージェイズと、複数の米メディアが報じた。

 このうちドジャースはタンパリング疑惑もあるほどで、当初から最有力といわれる球団だ。ア・リーグのスカウトがこう言った。

「佐々木はごく親しい人に、自分はドジャースファンと打ち明けたことがあるそうです。ドジャースは2013年から昨年まで12年連続でプレーオフに進出。つまり佐々木がメジャーに興味を持ったであろう中学、高校生のころから全盛期に入った。カーショー(36=ドジャースからFA)が13年から2年連続でサイ・ヤング賞、17年には18勝で最多勝を獲得して絶対エースとして君臨。日本人選手では前田健太(36=現タイガース)が入団1年目の16年から2年連続2ケタ勝利をマークして地区優勝に貢献しています。彼らの活躍に刺激を受け、ドジャーブルーのユニホームに憧れを抱いたのかもしれません」

 パドレスは何よりダルビッシュ有(38)の存在がデカい。

 佐々木は昨オフ、家族ぐるみの付き合いの山本由伸(26)とともにドジャースに行くつもりだったといわれるが、「少しでも体に不安があると投げない佐々木にとって、誰よりも頼りになるのはダルですよ」と、かつてダルが在籍した日本ハムのOBがこう続ける。

「ダルは日本ハムにいたころ、自分の状態に納得がいかないと、たとえ試合直前だろうと登板をドタキャンした。そのスタンスは小学校時代から変わらない。体に少しでも不安があると、どんな状況だろうとさっさとマウンドを降りた。象徴的だったのが東北高2年夏の甲子園です。初戦だった福岡の筑陽学園相手に先発しながら、二回に2点を取られると降板。監督から代わるかと聞かれ、間髪を入れずに『代わります』と答えてベンチに下がった。腰の状態が芳しくなかったからだが、そのスタンスに同級生は仰天した。高校生の誰もが憧れる甲子園の舞台、しかも負けたら終わりのトーナメントなのに、さっさとマウンドを降りたからです。2回戦を完投、3回戦は延長十一回をひとりで投げ切ったから、初戦も投げようと思えば投げられたはず。だが、無理はしなかった。そのメンタリティーは佐々木と相通じるものがある。佐々木は何かにつけてダルに相談しているそうですが、おそらく技術的なアドバイスを求めているだけではない。佐々木にとって似たようなメンタリティーを持ったダルは頼れる存在なのです」

 ブルージェイズは資金力がある。

 12年1月、ダルが日本ハムからレンジャーズ入りしたとき、当時のポスティングシステムでレンジャーズに次いで高額な入札をしたのがブルージェイズといわれる。

 22年3月、マリナーズからFAの菊池雄星(33=現エンゼルス)には3年約42億円を積んだ。3年間で15勝24敗の左腕がこれだけの金額を手にしたのは代理人の手腕はもちろん、資金が豊富だからこそ。昨年の大谷も最後までブルージェイズを選択肢に残したといわれる。

「親会社であるロジャース・コミュニケーションズの筆頭オーナーのエドワード・ロジャース3世は、メッツのコーエン・オーナーに次ぐ資産家として知られている。本拠地のトロントは市場規模も大きい。メジャーで唯一、カナダにある球団で、都市の規模は北米全体で4位というデータもあるほど。在籍する日本人選手はいないため、活躍次第で大きなスポンサー収入が見込める。主力は若手中心だし、ニューヨークやフィラデルフィアのような過激なメディアもない。それだけに佐々木にとってはプレーしやすい環境と言えます」(現地特派員)

 25歳ルールによって佐々木がメジャー球団と契約できるのは日本時間15日午後11時以降。ポスティングシステムの交渉期限は同24日午前7時。佐々木はこの間に契約を結ぶが、好きな球団を選ぶのか、自分を理解してくれる先輩を頼りにするのか、それともカネか……交渉は大詰めを迎えつつある。

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