長嶋茂雄さんから松井秀喜へ…「4番1000日計画」で受け継がれた打撃の極意
遠征先の場合、選手は11時前に球団が借りているホテルの大広間でスイングをしてから昼食を取る。その時、松井は長嶋監督のところで個人レッスンを受けていた。5分の時も30分の時もある。その後、ミーティングをしてからバスで球場入りするという流れだった。私は松井に長嶋監督からどんなアドバイスをされたか、内容を聞くようにしていた。
「構えた姿を後ろから見られて『今日はもういいよ』と言われました」
「バットスイングの音を聞いていて、それが変わったからOKが出ました」
バットのヘッドが走ると「シュッ」という短くて高い音がする。余計なところに力が入ると、「ブーン」という音がするというのだ。
長嶋監督の指導法は勉強になった。自分の目から投手が投げるボールに「仮想のラインをつくる」と話していた。松井は構えて投手を見た後、顎を引いて下を見ていた。あれはその「ライン」をつくるための動作だった。
調子が悪くなると背中が丸まってくる。長嶋監督はよく「始動を早めに取りなさい」とアドバイスを送っていた。左打者なので東京ドームのベンチからは背中が見える。背番号「55」がねじれたりすれば一目瞭然になるよう、いつも同じ場所に立った。下半身に体重が乗っているかも見た。


















