伊東四朗「日本一の脇役になりたかった」90歳で引退へ…主役を望まなかった喜劇人が貫いた63年の美学
喜劇俳優・伊東四朗さんが公式サイトで、来年6月15日の90歳の誕生日をもって芸能界を引退すると発表したのは、10月1日のこと。
その2日後、東京・浜松町の文化放送で報道陣の取材に応じた伊東さんは、入室早々「なんか有名人になったみたい」とおどけた。記者から引退を惜しむ声が上がると、「そんなにけしかけないでください。本当に(芸能界引退を)撤回しますよ」と返して笑わせた。
一方で、「黙ってそのまま辞めちゃうのも卑怯だから、発表しようと思って」「日本一の脇役になりたいとは思ったけど、主役をやりたいと思ったことは一度もない」といった言葉からは、誠実さと謙虚さ、そして自分なりの価値観を大切にする姿勢が伝わってきた。
筆者が初めて伊東さんと対面したのは2020年7月。志村けんさんの追悼インタビューで事務所を訪れたときだ。喜劇界を長年支えてきた伊東さんは、孫を迎え入れるような笑顔で質問に答えてくれた。
伊東さんは、かつて東京の笑いには音楽畑(バンド編成のコントグループ)と軽演劇畑(娯楽性の高い喜劇団)があったと教えてくれた。コントはリズムが命で、音楽畑の人間は「ンタッ、ンタッ、ンタッ」と裏拍でツッコミを入れられるのだという。


















