壁一枚隔てた隣室は別世界…マンション小説特集(2)中国の廃墟マンション「爛尾楼」が舞台
「丹心/まごころ」仁科斂著
都会のマンションでは隣に誰が住んでいるのか分からないことも珍しくない。一方で、限られた居住空間を分け合って暮らすことには変わりなく、プライバシーの境界線には集合住宅ならではの緊張感が漂う。今回は、実話をもとにしたホラーや中国の不動産事情を描く物語など、マンションが舞台の4冊を紹介する。
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「丹心/まごころ」仁科斂著
オックスフォード大卒の著者による、2026年上半期芥川賞候補作。建設途中で放棄された、爛尾楼と呼ばれる中国のマンションが舞台だ。
建築学科教授である鹿野川のもとに、Qと名乗る人物からメールが届く。内容は、未完成のマンションを美術館に設計し直して欲しいという依頼。その物件は、中国浙江省の港湾都市、寧波市にあった。
美術館設計は建築家にとって最終の夢であり、鹿野川は二つ返事で引き受ける。しかし、問題は山積み。未完成のマンションに前金を払ってしまった住人たちが勝手に住み着いていたのだ。
鹿野川の指導学生であるレンは自ら志願し、立ち退き交渉を進める。依頼主であるQは青幇(ヤクザ)を差し向け、住人たちに圧力を加えようとするのだが……。
爛尾楼を通じて現代中国の社会問題を浮き彫りにする本書。著者が新潮新人賞を受賞した「さびしさは一個の廃墟」も併録されている。 (新潮社 2200円)


















