壁一枚隔てた隣室は別世界…マンション小説特集(4)引っ越し体験から生まれたドキュメントホラー
「タワーマンションの奇妙な居住録」蒼月海里著
都会のマンションでは隣に誰が住んでいるのか分からないことも珍しくない。一方で、限られた居住空間を分け合って暮らすことには変わりなく、プライバシーの境界線には集合住宅ならではの緊張感が漂う。今回は、実話をもとにしたホラーや中国の不動産事情を描く物語など、マンションが舞台の4冊を紹介する。
◇ ◇ ◇
「タワーマンションの奇妙な居住録」蒼月海里著
格安のボロアパートで執筆した小説がヒットした【私】は、心機一転で引っ越しを決意。まだ住人がいるため内見はできないが、“管理費ゼロ”というタワマンの一室を紹介される。
違和感はあったものの、快適な執筆生活を夢見て契約を交わす。しかし、引き渡し当日に“飛び降り”を見てしまう。35階の吹き抜けから見下ろした33階の共用廊下で誰かがこちらを見上げており、その刹那、ぐらりと体が傾き落ちていったのだ。
ところが、調べてみても飛び降りなど起きていないという。さらに、クリーニングを終えたばかりの部屋に入ると強い線香の臭いが。不吉な予感から目をそらすように引っ越しを終えた私だったが、夜な夜な人の囁く声に悩まされることになる。
実は本作、著者自身が体験した出来事をもとに描かれている。そのタワマンと土地にまつわる記録を調べた著者が何を知ったのか。読後は自分の住むマンションも調べたくなるはずだ。 (竹書房 1925円)


















