萩本欽一〈57〉初告白 生死を彷徨った三男の命を救った医師との秘話/横山医院開業資金と運命の再会
作家・増田俊也氏による連載、各界レジェンドの生涯を聞きながら一代記を紡ぐ口述クロニクル。待望の第2弾は、「視聴率100%男」として昭和のテレビ界を席巻したコメディアンの萩本欽一氏です。
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増田「チャリティー番組を長く続けたことについて、周囲からいろいろ言われて嫌になることもあったけれど続けられたのは、三男の征九郎さんのことがあったからと」
萩本「そう。いろいろ言われたからね。『やっぱりいい人でいたいとかってなるんですか』とか。そういうふうに言われると、たまんなく辞めたくなるんだけどね。でも『ああ、そう思われてもしょうがないですね』って言うの。そこで『違うんですよ』って言うのは、なんか格好よくないじゃない」
増田「実際には、三男のことが心のどこかにあった」
萩本「そう。なんで長くやったのって聞かれたら、簡単なんだよね。自分の子供がそうだったっていう瞬間があるから」
増田「日本中に同じような事情を抱えたご家庭がたくさんある。そのことが身につまされてわかる」
萩本「そうだね。いろいろ大変な家族もいるだろうと思って」
増田「それにしても生死の境をさまよった三男が助かったという以前お伺いした話も、萩本さんのいう『運』を感じますね」
萩本「そう。不思議でしょう。実はね、あの話には続きがあるの」
増田「どんな話ですか?」
萩本「その後、神奈川県の二宮町に引っ越したでしょう。そしたら、三男を助けてくれた先生が隣に住んでたの」
増田「えっ、偶然ですか?」
萩本「偶然。すごいでしょう。それでね、その先生が『二宮に病院を建てようと思っている』って言うの。それまで二宮には病院がなかったから」
増田「三男を助けてくれた先生が開業すると」
萩本「そう。それで俺、お金を出したの」
増田「病院の開業資金を?」
萩本「うん。あげたっていうんじゃなくて、出したの。病院を作ったらいいよって。俺からすれば子供を助けてもらったんだから、これは恩返しだからっていう気持ちだった」
増田「それ、誰も知らない話じゃないですか?」
萩本「知らない。俺、そういう話しないから」


















