「小さな善意」は周囲も巻き込む…気持ちの良い空間をつくり出す
軽微な無秩序やルール違反を放置すると、やがてより大きな犯罪や深刻な問題につながるという、「割れ窓理論」と呼ばれる環境犯罪学上の理論があります。では、その逆である「秩序を取り戻そうとする姿勢は、周囲の親切な行動を広げるのか」──。この点に注目した、オランダのフローニンゲン大学のカイザーらの研究(2013年)があります。
研究チームは、街中で通行人に気づかれないように3つの実験を行い、周囲の様子によって親切な行動がどう変わるかを比較しました。
まず1つ目が、郵便ポストの近くの道路に、切手が貼られて宛名が書かれた手紙を置いておき、「通りかかった人が拾って、ポストに入れて投函してくれるか?」というものです。
その際、ごみ袋が放置されているようなマナーが悪い場所とごみが一切ないきれいな場所とで比較したのですが、前者は拾って投函してくれた人が10%、後者は24%でした。きれいな場所の方が、手紙を拾うという親切な行動が増えることが明らかになったのです。
次に、路地に倒れている自転車を置き、通りかかる人がそれを起こしてくれるかを観察しました。場所は先ほど同様、マナーが悪い場所ときれいな場所です。先の傾向通り、この実験でも、マナーが悪い場所では1割に満たなかったのに対し、きれいな場所では2~3割と多くなりました。ですが、興味深いのは、次の“ある条件”を加えたケースです。


















