「津軽双花」葉室麟著

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 徳川家康の姪である満天姫は、福島正則の養嫡子・正之に嫁いで直秀を産んだが、正之が廃嫡となった末に幽閉されて亡くなったため、直秀を伴って実家へと戻っていた。そんな満天姫のもとに、津軽信枚との縁談話が持ち込まれる。しかし信枚にはすでに正室・辰姫がおり、彼女は石田三成の娘だった。つまりこの縁談は、徳川側の満天姫が石田側の辰姫を正室の座から追い出すものだった。この婚姻を機に、両家を背負った女の関ケ原の戦いが始まるのだが……。

 天下分け目の戦いで勝者と敗者として異なる立場に置かれた2人の女が、津軽を舞台に威信をかけてそれぞれの生き方を貫く。互いを敵としつつも、不思議な友情で結ばれる様子が描かれている。この表題作のほか、家康から上洛を求められる茶々と秀頼の顛末を描いた「鳳凰記」、関ケ原の戦いでの石田三成の本意を探る「孤狼なり」、本能寺の変の立役者として斎藤内蔵助利三を描いた「鷹、翔ける」の3編も収録。(講談社 1550円+税)

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