「娼婦たちから見た戦場」八木澤高明著

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 戦場と性の関係は、古代から現代まで連綿と続いてきた。血なまぐさい土地では、市場で物品が売買されるのと同じように娼婦たちが春を売る。本書は、カメラ片手に世界の紛争地を巡り歩いてきた著者が、娼婦たちを通して見えてくる世界の現状を描いたルポルタージュだ。

 登場するのは、すぐに体を売ることになりかねないイラクのスモーキーマウンテンの少女、寺に捧げる名目で村の男たちの慰み者となり一般社会に戻れないネパールの処女神信仰の犠牲者、家族のために性を売った末にエイズになるタイの娼婦、都市に出て体を売る戸籍のない中国の黒孩子など。

 読み進めると、世界の紛争地の軍隊や習俗や貧困の陰に娼婦が存在することが明らかになってくる。これらは日本と決して無関係ではなく、同じことが戦中戦後の日本でも起きた。今後はマイナンバー制度によって売春が地下に潜るという。

 戦場は決して遠い異国にあるのでなく、もはや足元にあると指摘している。(KADOKAWA 1700円+税)


【連載】週末に読みたいこの1冊

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