「ヒトの遺伝子改変はどこまで許されるのか ゲノム編集の光と影」石井哲也著
人は生命の設計図であるDNAを改変する技術を手にした。「ゲノム編集」の技術である。とくに「クリスパー・キャス9」の登場により、安価で手軽にDNAにメスを入れられるようになった。生命倫理学の専門家である著者は、タイトルにある通り、そのことに疑問と恐れを持ちつつ、これから人類が直面するであろう、「家庭」「人」「治療」などのあり方について課題を投げかけている。
遺伝子治療は最終的に代謝される薬と違って何度も服用する必要はなく、一度の遺伝子導入で完治を目指す。そのぶんだけ、間違えたときの悪影響は恐ろしい。これからの医療を考える上で読むべき一冊だ。(イースト・プレス 800円+税)