「はたらく動物と」文と絵/金井真紀
〈「ふーん。わしの話を聞いて、本にするのけ。わしは本は読まん。ぜんぶ鵜から学んどるで。本を書く人間や学者先生なんてもんは、たわけじゃ思うとる」
「自然のことも知らねえで、パソコンなんか使っとるもんはたわけじゃろ」
攻撃的でも批判的でもなく、挨拶がわりの頑固爺のサービスのような口ぶりで、なんだか、いきなりおもしろい〉
これは岐阜の鵜匠・山下純司さん(77歳)に取材したときの話。鵜飼いの鵜の寿命は25年くらいだそうで、若いときは片足で立ち、年を取ると両足で立つようになり、最後は立てなくなってしゃがみこみ、それから1週間で死ぬ。これが鵜に教わった最高の死に方だと。
ほかに、モンキードッグ、耕す馬、盲導犬、パリのニワトリなどの働く動物から、生き方のヒントを学ぶ旅の記録。(ころから 1380円+税)