著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

青木さやかさんは支払いゼロ…がん保険では「ステージ0」の上皮内新生物は対象外も

公開日: 更新日:

 タレントの青木さやかさん(52)は、2017年と19年に肺腺がんを治療されたことが多くのメディアで報じられています。先月30日放送されたNHKの番組「あさイチ」では、がんの医療費などについて特集。出演した青木さんは自身の体験を振り返っています。その中で注目したいのが次の言葉です。かいつまんで紹介すると、

「がん保険は、2つ入っていました。1つはまったく保険が支払われず、もう1つは10分の1でした」

 こんな内容です。この点は、ぜひ読者の皆さんにも頭に入れておいてほしいので少し掘り下げましょう。

 青木さんの診断は「上皮内新生物」で、この診断がポイントです。体の表面や臓器の粘膜などを覆っている細胞を上皮細胞と呼びます。たとえば、膀胱表面の上皮は尿ができる過程で外界の刺激を受け、胃や食道、大腸などもしかりです。度重なる刺激を受けるため、細胞分裂が頻繁に生じると、遺伝情報のコピーミスであるがん細胞も発生しやすくなります。

 上皮内新生物は、一般に上皮内細胞にとどまっている状態で、悪性新生物はその奥の基底膜を越えた状態です。上皮内新生物のうちに治療できれば転移や再発のリスクは少ないのですが、悪性新生物になるとそのリスクが高まる特徴があります。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  5. 5

    巨人正捕手は岸田を筆頭に、甲斐と山瀬が争う構図…ほぼ“出番消失”小林誠司&大城卓三の末路

  1. 6

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  2. 7

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    「ばけばけ」苦戦は佐藤浩市の息子で3世俳優・寛一郎のパンチ力不足が一因