「カラダの知恵 細胞たちのコミュニケーション」三村芳和著

公開日: 更新日:

 地球上では、73億人が6000近い言語を操って生活している。同じように人間のカラダの中には200種類以上の細胞が37兆個集まり、密なコミュニケーションをとることでカラダを維持し、頭を働かせている。本書はその情報伝達をわかりやすく解説した一冊だ。

 興味深いのは著者が研修医時代に遭遇した末期がん患者の劇的変化。ただのビタミンを新薬と思い込むことで、がん症状が一変したという。いわゆるプラセボ(偽薬)効果だが、2004年の「英国医学会会報」によるとイスラエルでは医師の60%はプラセボを処方し、処方した94%の医師が臨床的なプラセボ効果を信じていたそうだ。

 免疫細胞が暗示にかかり、気持ちが遺伝子を動かす。人間のカラダに潜む知恵と不思議が紹介されている。(中公新書 880円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし