「日本企業が社員に『希望』を与えた時代」 立石泰則著

公開日: 更新日:

 松下幸之助は社員に、自分たちの仕事が世の中を良くするものだと教え、「働く希望」を与えた。GHQから財閥指定を受けて人員削減をしたときは、会社に残る者は給料の保証はできないと伝え、退職を選んでも、業績が回復したときは戻ってきてもかまわないと言った。後に松下電器の副社長や社長になった社員はこのときの出戻り組だった。幸之助の「家族主義」を捨て、米国式の経営手法を取った6代目社長の中村邦夫は、45歳以上の社員は要らないと大規模な人員削減を実施した。社員を人間として扱った幸之助と異なり、社員を単なるコストと見たため、優秀なエンジニアの流出を招いた。

 日本企業の経営のあり方に対する警告の書。(七つ森書館 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  2. 2

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  3. 3

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  4. 4

    ドジャース内野手ベッツのWBC不参加は大谷翔平、佐々木朗希、山本由伸のレギュラーシーズンに追い風

  5. 5

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  1. 6

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  2. 7

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  3. 8

    維新のちょろまかし「国保逃れ」疑惑が早くも炎上急拡大! 地方議会でも糾弾や追及の動き

  4. 9

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  5. 10

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方