• facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger
北上次郎
著者のコラム一覧
北上次郎評論家

1946年、東京都生まれ。明治大学文学部卒。本名は目黒考二。76年、椎名誠を編集長に「本の雑誌」を創刊。ペンネームの北上次郎名で「冒険小説論―近代ヒーロー像100年の変遷」など著作多数。本紙でも「北上次郎のこれが面白極上本だ!」を好評連載中。趣味は競馬。

「南風吹く」森谷明子著

 俳句甲子園は、高校生を対象にした俳句コンクールで1998年に始まった。地方大会を勝ち抜いた36チームが集まり、毎年8月に松山市で行われるが、第20回の今年は8月19日から2日間にわたって開かれた。その競技方法は、句の優劣はもちろんだが、相手チームの句に対する鑑賞力も対象になるというのが興味深い。

 この実在のコンクールについては、小説やマンガ、映画などがこれまでにも発表されてきたが、本書もそういう一冊である。2年前に「春や春」という作品を森谷明子は発表しているが、本書はその続編。とはいっても、やや異色の続編である。というのは、前作「春や春」と同じ年の俳句甲子園を舞台にしているのだ。

 前作では、藤ヶ丘女子高校俳句同好会の面々が主役となったが、その同じ大会に出場した愛媛県立越智高等学校五木分校の5人が今度は主役となる。つまりその年の全国大会でどの高校が1位になったのかを私たちはすでに知っている。2位も3位も。しかしそれでも面白いのは、たしかに勝ちを争うゲームではあるけれど、それだけではないという俳句甲子園の本質のためだろう。

 すなわち、俳句の楽しさがここにはあふれているのだ。ディテールが素晴らしいこともあるが、俳句に親しんでこなかった者には、こういう楽しい世界があったのかという発見がある。ふと気がつくと、五・七・五のリズムを口ずさんでいるのである。(光文社 1600円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    進学説の真偽は…金足農・吉田輝星めぐるプロ争奪戦の内幕

  2. 2

    森達也氏が危惧 オウム以降の日本社会は「集団化」が加速

  3. 3

    逸材ゴロゴロ 夏の甲子園“契約金1億円”ドラ1候補7人の名前

  4. 4

    翁長氏が後継指名 玉城氏出馬でどうなる沖縄知事選の行方

  5. 5

    キムタクは“御一行”で…被災地を単身訪れた斎藤工との差

  6. 6

    地元は必死に寄付金集め 金足農“想定外”快進撃の舞台側

  7. 7

    元大リーガー・マック鈴木さん 酒豪ゆえに付いたアダ名は

  8. 8

    黄金世代が上位独占も…評論家が女子ツアーの現状憂うワケ

  9. 9

    二軍で“塩漬け”の巨人ゲレーロ 古巣中日勢に漏らした本音

  10. 10

    大激怒から落胆へ…爆問・太田“裏口入学”報道の複雑胸中

もっと見る