「ワクチン副作用の恐怖」近藤誠著
ワクチンが病気を予防するという世間の「常識」に警鐘を鳴らす一冊。本を手にしてまず驚かされたのは英国の結核死亡率のグラフ。結核ワクチンが導入されるはるか以前から死亡率は自然減しており、ワクチン効果が予想以上に小さいことが分かる。著者は天然痘をはじめ有用なワクチンを認めつつ、幼児期に40本ものワクチンを打ち、高齢者にも肺炎球菌ワクチンなどを打つことへの合理的懸念を並べている。
例えば肺炎で亡くなる高齢者は多いものの、それは誤嚥性肺炎など必ずしも肺炎球菌ワクチンで防げる肺炎とはいえないこと、ワクチン接種が義務でないという意味は何かあったら自己責任であるということ、欧米では一般的でないワクチンが日本では当たり前のように接種されていることなど。さらには決して少なくはない副作用の事実を論文などを交えて紹介、ワクチンの毒性に気づかせてくれる。
(文藝春秋 1200円+税)