「京都ぎらい 官能篇」井上章一著

公開日: 更新日:

 今でこそ、京都は気品と風格あふれる古都として認知されているが、明治・大正期の雑誌では街の淫風が書きたてられていたという。ベストセラーの続編である本書では、京都の知られざるそのもうひとつの顔を暴く。

 嵯峨で育った著者が物心ついたときに見かけたことがあるギ王寺の美人庵主・智照尼の数奇な人生、そのギ王寺にまつわる女性たちの物語、江戸時代に商用で入洛した男たちを接待した「牙儈」と呼ばれた女性たちの存在、後宮の女性の魅力を活用して新田義貞の心をとらえ、軍事力を利用した後醍醐天皇、若い女に裸体が透けるような装いをさせて男たちを供応する太平記に描かれた「シースルーパーティー」など。

 京都の歴史を彩る女性たちの色香にスポットを当てる。(朝日新聞出版 780円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  2. 2

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  3. 3

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  4. 4

    ドジャース内野手ベッツのWBC不参加は大谷翔平、佐々木朗希、山本由伸のレギュラーシーズンに追い風

  5. 5

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  1. 6

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  2. 7

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  3. 8

    維新のちょろまかし「国保逃れ」疑惑が早くも炎上急拡大! 地方議会でも糾弾や追及の動き

  4. 9

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  5. 10

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方